2020 Fiscal Year Annual Research Report
第一次世界大戦における「模範国ドイツ」崩壊の日本に及ぼした影響の政治外交史的研究
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20H01312
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
小林 道彦 北九州市立大学, 基盤教育センター, 名誉教授 (80211910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 浩延 同志社大学, 法学部, 助教 (30844089)
森 靖夫 同志社大学, 法学部, 教授 (50512258)
瀧井 一博 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (80273514)
竹中 亨 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (90163427)
西田 敏宏 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 准教授 (90362566)
奈良岡 聰智 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (90378505)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 山県有朋 / 意見書 / 陸軍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は『新版・山県有朋意見書』の史料集本体部分の完成に注力した。 コロナ緊急事態宣言に制約されながらも、国立国会図書館憲政資料室、防衛省防衛研究所図書館、国立公文書館、宮内公文書館、萩博物館などでの追加的史料調査を実施した。 意見書の名称、作成年月日、出典等を一括して編年順で整理・配列した「統合リスト」と電子データとの紐付け作業を継続した。一旦は完成したかに思われた同リストであるが、新出史料の発見による追加的記載や重複データの整理を行う必要に迫られ、その都度作業を行った。その結果、史料集の全体像をより的確に把握できるようになった。統合リストの本体部分(所蔵機関と収録簿冊名など明記)は『新版・山県有朋意見書』に掲載・公開する予定である。意見書の中には様々なバージョンがあるものもあり、こうした情報公開手続きをとることによって、山県有朋意見書に対する学界関係者はもとより、国民の理解を一層深めることができるからである。 以上の過程で大山梓編『山県有朋意見書』(原書房、1966年)が収録を見送っていた、幕末期の意見書を10点余り発見できたので、新版にはそれらの意見書をも収録することにした。また、伊藤博文編『秘書類纂』中から新たに数点の意見書を発見することができた。 大山前掲書に収録済みのものは計82点であるが、これまでの調査で新たにリストアップされた意見書は90点余りに及ぶ(総計170点余)。ただし、内容的に「意見書」になるかどうか微妙な長文書翰なども含まれているので、それらについては逐一研究会の席上検討を加えている。データの翻刻作業も同時並行的に行い、ひと月に一回のペースでZOOMによる翻刻原稿と原史料との読み合わせ作業を行った。海外での史料調査はコロナ禍により全く行えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染予防のため、海外での史料調査は全面的に中止せざるを得ず、国内での史料調査は感染状況の間隙を縫って行うしかなかった。やむを得ないことではあるが、国立国会図書館など各種公共機関の利用に制限がかかったこともあり、当初の予定通りには国内における追加的史料調査も進まなかった。こうした状況に鑑み、ZOOMによる遠隔研究会を開催し(7月10日、8月22日、9月7日、9月20日、10月11日、10月16日、11月6日、11月27日、12月29日、2月19日、3月25日)、『新版・山県有朋意見書』の掲載予定史料の翻刻・校合作業を集中的に実施するとともに、「模範国ドイツ」の崩壊に関する研究会も開催したが、特に「遠隔」での校合作業の効率低下は否みがたく、当初予定していた2020年度中の原稿入稿は達成できなかった。 とはいえ、予想以上に意見書が発見されたこともあり、以上の状況を一概に「遅れている」とすることはできない。むしろそれは予想以上の進展を見たとも言いうる。しかしながら、海外での史料調査が全くできなかったことにより、「史料解題」に関わる研究についてはやや遅れ気味である。また、意見書の翻刻や読み合わせに労力の多くを割いたこともあり、「模範国ドイツの崩壊」という研究テーマに即した研究報告は2本に止まった。
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Strategy for Future Research Activity |
『新版・山県有朋意見書』の翻刻原稿の校合を終わらせ、意見書本体部分の整理・入稿に集中する。また、「新史料」の発見に伴う文書データのワード入力作業(上記『秘書類纂』、幕末期の意見書等)も早急に行う。パソコン内などの電子データの取りこぼしに注意する。 校合作業は当分の間はZOOMによる遠隔方式で行うが、この場合作業効率は著しく低下するので、感染状況の緩和を待って対面型の研究会をメンバーが一番集まりやすい同志社大学で開催する予定である。また、国立国会図書館憲政資料室など在京史料館・図書館での合同史料調査も行いたいと考えている。海外での史料調査も状況が好転し次第、実施するつもりである。 解題執筆に向けて研究会を同じくZOOMを用いて開催する予定である。前年度は「近代日本とポーランド・ドイツ関係」というタイトルで、いわゆる「ポーランド回廊」におけるドイツ人移民政策について初歩的な検討を加えることができたので、今期もそれをより一層進展させていくと同時に、より幅広い分野に研究報告の範囲を拡大していく。 研究成果は各自積極的に学術雑誌等に発表していく。
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Research Products
(13 results)
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[Book] 清風荘と近代の学知2021
Author(s)
松田 文彦、今西 純一、中嶋 節子、奈良岡 聰智
Total Pages
400
Publisher
京都大学学術出版会
ISBN
4814003293
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