2020 Fiscal Year Annual Research Report
生殖医療技術の利用における選択―新しい技術の受容・拒否・躊躇
Project/Area Number |
20H01408
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小門 穂 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (20706650)
洪 賢秀 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (70313400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / 配偶子提供 / 生命倫理 / ジェンダー / 特定生殖補助医療法 / 出自を知る権利 / インタビュー調査 / 卵子提供 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究は、予定していた海外フィールド調査と国際学会参加による海外の研究者との情報交換ができなかった。 国内調査も、当初予定の情報収集やインタビュー協力者と知り合う会合が激減したために、インタビュー実施が困難であったが、しばらくして一般の方もオンラインミーティングツールを使いこなすようになったため、オンラインでのインタビューが可能になった。そこで、生殖補助医療を受け、卵子提供による出産をした人と、当事者を支援している医療・福祉職や研究者へのインタビューを行った。インタビューは許可を得て録音し、それを逐語文字化して資料とし、MaxQDAを使用してコーディングしている。ただし、インタビュー協力者人数はまだ少ない。 2020年度には「特定生殖補助医療法案」が国会に提出され、制定・公布された。この法律によって、精子または卵子提供を伴う生殖補助医療によって生まれた子どもと親との法的な関係がほぼ確定された。しかし、生まれてくる子どもが精子や卵子等の提供者を知る等の「出自を知る権利」の保障が含まれず、議論の焦点となった。そこで、オンラインの会話ツールを使って、「出自を知る権利」について、異なる立場の人々の意見を動画として撮影し、発信することが、これから生殖補助医療の利用を検討する人、医療者、生まれてきた人にとって、参考になるのではないかと話し合い、その目的を説明して、出演を依頼し、医師、生殖補助医療のうち卵子提供によって子どもを持った人2名の対談、精子提供によって生まれた人5名のグループインタビュー、精子提供による生殖補助医療や人工授精で子どもをもとうとしているグループの支援者、「出自を知る権利」について海外の法律・制度を調べている研究者2名への個人インタビューを実施した。 これらによって、計画を変更しながらも、研究目的に沿った情報収集・開示を行うことができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Covid 19の感染拡大によって、海外でのフィールドワーク等は実現できなかったが、国内での調査を時間をかけて実現している。その間、「特定生殖補助医療法案」が国会に提出、制定された。このため、この研究によって行おうとしている卵子提供を伴う生殖補助医療によって子どもをもつ親、持とうとしている親と、その支援をしている人たちに、出会う機会は減ったものの、意見や経験について尋ねやすい環境に変化した。とくに、法律制定の議論において、生まれてくる子どもが精子や卵子等の配偶子の提供者を知る等の「出自を知る権利」が焦点となったことから、親になった人、親になろうとしている人が意見を述べる機会が増えた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外でのフィールド調査はあきらめて、「特定生殖補助医療法」制定を機に国内で卵子提供による生殖補助医療に関する当事者の意見が(匿名だが)聞かれるようになったため、インタビューと並行して、匿名で回答してもらえるWebアンケート調査の可能性を検討した。そのパイロットスタディとして、質問項目を検討している。
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Research Products
(11 results)