2020 Fiscal Year Annual Research Report
SDGs時代における漁業資源管理の統合的ガバナンス―サケを巡る法政策の国際比較
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20H01441
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
児矢野 マリ 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90212753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 健 神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (50379492)
松本 充郎 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (70380300) [Withdrawn]
森田 健太郎 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30373468)
阪口 功 学習院大学, 法学部, 教授 (60406874)
松本 裕子 (小坂田裕子) 中央大学, 大学院法務研究科, 教授 (90550731)
帰山 雅秀 北海道大学, 北極域研究センター, 研究員 (80305937)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サケ / 漁業資源管理 / 水産資源保護法 / 河川管理 / 人工孵化放流 / アイヌ民族 / 地域漁業機関 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度より深刻化したコロナ感染症問題による影響が、2022年度前半まで続き、そのために初年度の研究はかなり遅れ、計画の遂行は2022年度まで時間を要した。この間、オンラインを駆使しつつ、研究体制と研究基盤を整備し、メンバー各自が実証分析作業を進めた。第1に、研究のための施設基盤として、文献収集と関連機材の整備を進めた。第2に、専攻の異なるメンバー間で、研究に要する基礎概念・基本的知識の共通理解に努めた。第3に、認識枠組の共有・共通の問題意識を醸成し、研究方法論を議論し、9つの検討テーマ(①用語の定義、②水産資源保護法の課題、③沿岸管理(統合的沿岸管理)と海洋保護区の役割、③河川管理の課題、④人工孵化放流事業のあり方、⑤持続可能なサケ養殖の推進、⑥アイヌ民族のサケ利用(アイヌの漁業権訴訟の評価)、⑦知床世界遺産とサケ漁業、⑧日露間協力(日露間の漁業協定等)、⑨国際的な地域漁業管理機関(NPAFC, PSC, NASCO)を通じたサケ類の資源管理と各国の対応(母川国主義の実効性評価))を特定して、各自の分担を確認した(キックオフ会合連続5回)。第4に、メンバー各自が分担にそって実証分析を開始した。第5に、幅広い視野を得るため、多様な外部専門家を招聘しオンラインカフェを4回開催した(2021年2月、3月(2回)、2022年2月)。また、各テーマに関して諸々のフィールド調査も実施した(特に知床地域の河川管理につき、知床世界遺産科学委員会河川工作物アドバイザー会議・現地視察へのオブザーバー参加(2020年9月、2021年10月)、アイヌ民族のサケ漁業につき国立アイヌ民族博物館視察(2021年7月))。さらに、海外の専門家との交流・専門的知見の獲得のため、国際シンポジウムにメンバーを派遣し(1名は研究発表)、国際比較のためカナダ西海岸の現地視察を実施した(2022年10月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、関係機関の訪問調査や現地フィールド調査を通じて入手した「生の」情報・資料・データを実証分析し、現状を評価し問題点を抽出して、課題解決のための提言を行うことを本旨としている。また、そのために国際比較により日本の法政策を相対化するというアプローチも採用している。さらに、国際規範の発展との相関関係で日本の法政策を評価することもめざしている。そのために、文献調査にとどまらず、多様な関係機関への訪問、現地のフィールド調査、海外の専門家との幅広くかつ掘下げた交流を、不可欠とする。これらは、オンラインでは代替することのできないものである。けれども、コロナ感染症問題の影響により、2020年度内に実施予定であった、北海道内の河川環境に関する実態調査、アイヌ民族のサケ漁に関する予備的調査などが、当初の計画から大幅に遅れて次年度以降にずれ込んだ。また、当初2020年度に開催予定であった国際機関(NPAFCとNASCO)共催の国際サケ年の国際シンポジウムも2022年度まで延期され、コロナ感染症問題の影響によりカナダ及び日本の双方で出入国管理の制限を受け、カナダでの予備的な現地調査を実施することができなかった。以上の結果として、実証分析作業の本格化が遅れた。そのため、各自の分担作業にとどまらず協働企画の遂行も容易ならざる面があり、研究計画の進捗がかなり遅れているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
幸いなことに、2022年度後半からコロナ感染症問題によるさまざまな制限が緩和/撤廃され、国内外の関係機関の訪問調査や現地のフィールド調査、また少なくとも国際比較の対象としての北米やノルウェーにおける調査や関係会議への参加、これらの国からの研究者の招聘は可能となった。したがって、本年度後期から本格的に再開したそれらの活動を効率的に加速させ、研究の遅れを取り戻したい。ただし、ロシアに関しては、今後も直接的な往来が難しい状況は続くことが予測される。そのため、これまで本研究のメンバーと交流のある関係機関や専門家との間で、支障のない限り、オンラインを活用した交流を通じて必要な研究資料・データの入手を試みるが、現実的にそれが難しい場合は、やむなく可能な範囲に限って国際比較の対象にするか、または、究極的には比較対象からロシアを外すことも検討する。そして、1)当初よりも焦点を絞って各自が分担作業を進め、2)得た知見を定期的に持ち寄り議論して深堀作業を行い(日本側の勉強会を3回程度)、3)これまで構築した人的ネットワークを駆使して米国調査や国際機関(NASCO, PSC)の訪問調査を企画すると共に、カナダとノルウェーの専門家を招いた国際ワークショップを通じて国際比較も加速し、4)適宜オンラインカフェを活用して、多様な角度から専門的知見の獲得を効率的に推進して、研究を加速させて、研究成果の効果的な発信の準備を始める。
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Remarks |
帰山雅秀「サケの適温域減少 日本近海」 中国新聞2020年9月29日朝刊、帰山雅秀「現場報告 日本の鮭漁獲量が過去5年間で半減している:なぜ河川からサケが姿を消しているのか」文春オンライン2020年2月16日、帰山雅秀「石狩川のサケに学ぶ:負けるが勝ちの生き残り戦略 (3) 海洋におけるサケの回遊と生活」自然観察132号(P.3-6)2020年
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Differentiating Salmonid Migratory Ecotypes through Stable Isotope Analysis of Collagen: Archaeological and Ecological Applications2020
Author(s)
GUIRY, Eric, ROYLE, Thomas C. A., MATSON, R. G., WARD, Hillary, WEIR, Tyler, WABER, Nicholas, BROWN, Thomas J., HUNT, Brian P. V., PRICE, Michael H. H., FINNY, Bruce P., KAERIYAMA Masahide, QIN, Yuxue, YANG, Dongya Y., and SZPAK, Paul
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: Vol.15, Isuue 4
Pages: 1―25
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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