2022 Fiscal Year Annual Research Report
権威主義体制の正統性としての「建国の父」-その継承と変容の比較研究-
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20H01454
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
根本 敬 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (90228289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉谷 陽子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (20773485)
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
井上 あえか 就実大学, 人文科学部, 教授 (30388988)
宇山 智彦 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (40281852)
礒崎 敦仁 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (40453534)
粕谷 祐子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (50383972)
横山 豪志 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (80320381)
石塚 二葉 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ガバナンス研究グループ, 研究グループ長 (00466070)
新谷 春乃 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアII研究グループ, 研究員 (30791686)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 権威主義体制 / 「建国の父」 / 正統性シンボル / アジア諸国 / 比較政治 / ナショナリズム / 「独立の父」 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度(2021年度)に実施した個別報告に伴う議論をいっそう深めた一年となった。特に今年度から新たに研究分担者として参加した石塚二葉氏と新谷春乃氏によるホー・チ・ミン(ベトナム)とシハヌーク(カンボジア)の事例報告をもとに、新たに「建国の父」に関する比較考察の範囲を広げることができた。これにより、アジア諸国(特に権威主義体制をとる、ないしは過去にとっていた国々)における「建国の父」の成立過程と、独立後や革命後の政権(後続政権)が自らの正統性を主張する際に、どのように「建国の父」を活用したのかに関する比較考察を深め、理論的枠組みをいっそう明確にすることができた。併行して一般向けの公開講演会をオンラインで3回実施し、金日成(北朝鮮)、李承晩(韓国)、アウンサン(ビルマ)、スカルノ(インドネシア)、毛沢東(中国)、そして蒋介石(台湾)の計6名を取り上げ、各回とも50名から70名程度の参加者を得た。残りのホー・チ・ミン(ベトナム)、シハヌーク(カンボジア)、ジンナー(パキスタン)、ニアゾフら3名(中央アジア諸国)については、次年度(最終年度)にとりあげる予定である。このほか、最終年度に出版する成果刊行物の準備に向けた研究打ち合わせと出版社の候補の選定もおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研プロジェクトの開始当初の2020年度は、コロナ禍のために対面の研究会が制限されたばかりでなく、各研究分担者の海外調査がおこなえず、国内での文献調査を中心に調査を進めざるを得ない壁にぶつかった。しかし、2021年度以降、少しずつ状況は改善に向かい、2022年度は海外調査を必要とする分担者は、ほぼ順調にそれぞれの調査を実施することができた(クーデターで調査の困難なミャンマーを除く)。研究会は対面に戻すことが可能だったが、ひきつづきオンラインでの実施を続け、併行して一般向け講演会もオンラインで開催した。本科研でとりあげるアジア諸国は東アジア3カ国1地域(韓国、北朝鮮、中国、台湾)、東南アジア4カ国(ミャンマー、インドネシア、ベトナム、カンボジア)、南アジア1カ国(パキスタン)、中央アジア3カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメ二スタン)にのぼる。研究代表者と分担者9名、および研究協力者1名の計11名による各国(地域)の「建国の父」に関する調査と研究報告はほぼ無事に終了し、その後は公開講演会でその成果を一般に公開するところまで進めることができた。並行して、主に研究分担者の粕谷祐子氏が担当する理論的枠組みの明確化もいっそう鮮明にすることができた。最終年度となる来年度(2023年度)は、公開研究会の継続と完了、そして成果刊行物の出版に取り組むことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎える次年度は、一般向け講演会を続け、残された6か国(ベトナム、カンボジア、パキスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメ二スタン)各国の「建国の父」の特徴を取り上げる(オンライン実施)。それらを年度前半で終え、年度後半では成果刊行物の年度内出版を目指し、研究打ち合わせを重ねながら全体の構成を決め、各分担者と研究協力者による章別執筆をすすめる。提出された草稿は研究代表者(根本)と研究分担者の粕谷祐子氏の両名で読み合わせとチェックをおこない、書き直しをしてもらう。年末からは出版社(彩流社を予定)の担当編集者との連絡を密にしながら最終校正に入り、年度末までに一般出版物として発刊し、研究者らへの献本を終えることになる。
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