2021 Fiscal Year Annual Research Report
Social Esteem vs Self Image: evidence from discrete choice experiment
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20H01479
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山田 克宣 近畿大学, 経済学部, 教授 (80533603)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会効用 / 情報介入 / 政策デザイン / self image / social esteem |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究年度では、社会効用効果の分解を行う仮想離散選択実験を追加的に複数回行った。前年度までの実績で、金銭面についてのsocial esteemの効果とself image効果の分析をイギリス、アメリカ、シンガポール、南アフリカ、オースラリアの5カ国で行っており、その基盤は形成されていた。そこで、本年度はより詳細な社会効用効果の分解をアメリカに絞って行った。 具体的には、社会効用の発生源として新たな要因を追加的に考慮し、学校の成績(GPA)、所有する車の安全性、所有する車の価値を取り上げた。 学校の成績や車には所有者の社会的地位を社会にみえる形で発信するシグナリングの機能があり、これらの要因に対して金銭面と違ったsocial esteem効果とself image効果が備わっているのか吟味する、というのが研究内容である。 さらに、本年度の調査では社会効用の発生源の違いについて吟味するだけではなく、離散選択実験において、被験者が選択問題に取り組む際に真実(すなわち自分が本当によいと思っている選択肢)を報告するインセンティブを高めるため、新たに報酬連動型の調査を追加し、金銭面についての社会効用、GPAについての社会効用、車の安全性についての社会効用、それぞれに対して追加的な調査を行った。実験の枠組みとしては、これまでの研究では「自分自身がどう考えるか」を回答させていたのに対し、今回は「実験に参加する他者のマジョリティーがどのように回答するか」について予測し、その予測が実際に的中していたら追加報酬を提供する、という形で行った。これはtruth reportingのインセンティブを高めるスキームであることが近年しられるようになったもので、本研究課題でも早速採用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で共同研究者の来日が実現しないなど研究遂行上の不確定要素が発生したが、最終的には研究を進める中で追加的に必要と判断された実験も含め、全ての課題を研究年度、研究予算の中で完了することができた。ただし、共同研究者の来日が叶わなかったことで、実験結果の論文化が遅れており、今後の課題として残っている。
また、前年度に論文化まで完了している新型コロナ禍における情報介入による行動変容実験の論文は、現在のところ雑誌の出版が決定しておらず、これについても今後の課題として残ったままである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においてひとまず社会効用の詳細な分解(anatomy)は完了したと言って良い。今後は実験結果の論文化に注力するとともに、次年度にむけてこれまでの知見をもとにした「効果的な政策介入デザインの分析」という課題に向けた準備を行う。
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