2022 Fiscal Year Annual Research Report
企業が輸出を始めたことの企業間ネットワークを介した他企業への波及効果の実証研究
Project/Area Number |
20H01506
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
嶋本 大地 近畿大学, 経済学部, 准教授 (30748405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 忠士 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50635175)
VU MANHTIEN 中央大学, 国際経営学部, 准教授 (80734045)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 輸出の波及効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
発展途上国では、経済発展を達成させるために輸出を促進する政策が実施されている。本研究の目的は、企業間ネットワークを介した波及効果を検証することで、企業が輸出を開始することの社会的便益を正確に評価し、より最適な貿易政策の立案・実施に貢献することである。この目的を達成するために、2023年2月から3月にかけて、ベトナムのハノイ周辺の複数の刺繍産業クラスターを対象に企業調査を実施した。企業調査では、企業の基本的な情報(売り上げ、従業員数、輸出活動など)や経営者の属性(年齢、性別、刺繍産業で働いている年数、刺繍の生産経験など)に加えて、刺繍の生産を委託した企業、刺繍の製品の買い手、経営者同士の親族関係、経営者同士の情報交換のつながりについて収集した。その後、企業調査では十分に理解できなかった刺繍生産の生産方法及び生産ネットワーク構造について企業調査の対象となった一部の企業に対してインタビュー調査を行った。 輸出の波及効果を検証するために、ランダムに選ばれた刺繍産業の生産性の高い企業を対象にベトナム国内や海外の輸出商社と出会うマッチングイベントを開始することで、対象となった企業の輸出を促進する介入を行う予定だったが、イベントの開催が困難となり、イベントの実施を断念した。そこで、代替案として、昨年に実施した企業調査に参加した企業を対象に追跡調査を実施した。 今後の研究の展開としては、1年間で企業の輸出行動がどのように変わったのかを調べて、さらに、輸出行動が変わった企業とつながりのある企業の企業行動がどのように変化したのかを定量的に検証する。企業間のつながりは、刺繍の生産委託企業と刺繍の買い手の生産や刺繍の販売に関連するつながりだけではなく、経営者間の親族的なつながり、経営者同士の情報交換など多角的に定義する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、企業調査を開始するタイミングが遅れ、その結果収集した企業調査データを解析する時間が十分に取れなかったた め。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにハノイ周辺の刺繍産業クラスターの同一の生産者に複数回調査を行っている。調査では、生産者の属性及び売上、生産量、生産性、輸出活動、生産委託企 業や買い手の情報などを質問している。まず、調査で収集した買い手と生産委託企業の情報を使用して、対象の刺繍産業クラスターにおけるサプライチェーン ネットワークを構築する。さらに、輸出が増加した企業や減少した企業を特定化し、それらの企業と直接的もしくは間接的にサプライチェーンネットワークでつ ながっている企業との売上や生産量、生産性が他と比較してどの程度変化したのかを計量経済学的な手法に基づいて検証する。さらに検証結果をまとめて、学術 論文を執筆し、国際学術雑誌での出版を目指す。
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Research Products
(6 results)