2020 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative seven-country study of policy frameworks and teacher training for comprehensive sexuality education based on human rights and gender equity
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20H01641
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ヤマモト ベバリーアン 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10432436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 映理 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (20511322)
友川 幸 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30551733)
小笠原 理恵 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70814375)
MAWER Kim 大阪大学, グローバルイニシアティブ機構, 特任研究員 (80795633)
大谷 順子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90403930)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性教育 / 包括性教育 / ジェンダー / 指導要領 / 教員養成 / 政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染症の影響により、海外のフィールドワークが予定通り実施できていない。オンラインでの研究会の実施と文献調査を中心に、以下の3点を中心に研究を進めている。 【理論および概念分析】ICPD会議(1994)以降のCSEをめぐる学術的文献および国際的議論を包括的にレビューした。グローバルな力関係の社会学的理論(Connell, 2007など)に着目し、CSEをめぐる理論や知識の創出について議論するための批判的枠組みを構築した。また、教員養成をめぐる国別の文献レビューに着手した。成果物として、世界セクシュアルヘルス学会で口頭発表を行った。次年度には学術的評価の高い社会科学系雑誌に投稿する予定である。 【カリキュラム分析】CSEに関するカリキュラムやそれに相当するガイドラインなどを、海外の研究協力者とともに国別に特定し、教育レベル、内容、教育科目別に、ITGSEに基づいたマッピングを行っている。日本、中国、ラオス、ネパール、フィリピン、イギリスにおける初等・中等教育については、粗削りではあるがデータの収集が終了した。今後はインドネシアを追加予定である。これらの分析を発展させるべく次年度はフィールド調査が望まれる。 【国別・地域別レポートと政策分析】 各対象国の歴史的背景、性教育にかかわるステークホルダー(政府、教育・医療団体、市民社会、反対派など)、関連する政策文書の特定と位置づけを行い、基本情報を整理した。CSEの内容、教授法、教育法、教材、教員研修、国と地域の政策間のギャップなどを考察し政策分析を行った。2021年度は特に日本に力を注ぎ、国の政策とカリキュラムの分析、教育委員会や都道府県レベルによる地域政策のマッピングおよびケーススタディを行ったところ、ケンブリッジ大学の東アジアセミナーシリーズでも内容の一部を発表する機会を得た。次年度には国際誌への投稿を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で海外渡航が制限されていることから、当初の予定通りフィールドワークが実施できず、進捗がやや遅れている。そうした中でも、定期的に海外の研究協力者とオンラインミーティングを行い、さらなる既存の資料の収集と分析を深めている。まず、セクシュアリティ教育に関する理論的・概念的な文献の分析を、包括的・系統的にレビューした。また、対象7カ国における文献の収集と分析に関連し、主に以下の4つの分野について、精力的に取り組んだ。 ① 理論および概念分析。ICPD会議(1994)以降のCSEをめぐる学術的文献および国際的議論を包括的にレビューした。②セクシュアリティ教育に関する国や地域の政策についてのデータ収集と分析 ③ 海外の研究協力者との協同によるデータ収集と、対象国のセクシュアリティ教育カリキュラム内容のマッピング ④ ラオスの教育現場での実用化を目的としたセクシュアリティ教育用教材の作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
【各国/地域における公的文書の調査】国際モデルを軸に政策的観点から見た性教育のあり方についての各国比較を行う。これまでに研究協力者を通して収集した各国の法的・政策的文書や指導要領等の公的文書を系統的に整理し、必要文書の抽出および分析を引き続き行う。抽出・分析する内容は次の2点。1)法的・政策的な公的文書において、性教育がいかに明文化され枠組みが作られているか、2)指導要領またはそれに該当する文書のなかで、教育現場における性教育の実施についていかに明文化され枠組みが作られているか。国際的枠組みについての論文1本と日本国内のCSEに関する論文を1本の2本を学術誌へ投稿予定。 【さらなる文献調査と専門家インタビュー】性教育にかかわる教員の養成および養成プログラムに関する文献調査および専門家インタビューを実施する。 【フィールド調査】新型コロナウィルス感染症によって、昨年度も計画していた海外のフィールド調査が全く実施できなかった。本年度の状況もいまだ定かではないが、感染拡大状況が落ち着き、日本との往来制限が緩和された国/地域から、順次フィールド調査を開始する予定である。フィールド調査では、上記で明らかにした政策上の性教育の枠組みが、人材育成の現場でいかに実践に移されているのかを、質的研究を用いて明らかにする。調査は2つの側面から行う。一つ目は、研修を受ける側の教員を対象に、質問紙もしくはインタビュー調査を用いて、研修の満足度や有益性、有効性を問う。二つ目は、実施する側を対象にインタビュー調査(個人またはフォーカスグループ)を行い、1)受講の対象者、2)規模(研修時間、モジュール)、3)内容、4)目標設定、5)教材、6)課題、などを問う。 なお、COVID-19の影響によりフランスでの調査が困難になったため、今回の調査対象国からは外し、代わりにインドネシアを調査対象国として追加予定。
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Research Products
(18 results)