2021 Fiscal Year Annual Research Report
Activation and growth enhancement of T-cell using oxygen plasma
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20H01892
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 信哉 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40295019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 佳雄 佐賀大学, 医学部, 教授 (50322300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラズマ免疫細胞活性化 / 活性酸素 / 細胞増殖促進 / 免疫機能促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素プラズマを免疫細胞に照射した場合に観測された細胞数の増加と免疫機能の促進または抑制に関して,これらの現象のメカニズムを明らかにすることで,免疫細胞が酸素プラズマ中の活性酸素を感知する過程から細胞増殖の促進および免疫機能の増進に至るまでの反応経路の解明を試みた. (1)活性酸素感受メカニズム(林担当):活性酸素をT細胞に照射した際の細胞表面での酸素プラズマの感受機構を調べために,TOF-SIMSを用いて酸化または脱水された修飾基を調べた.その結果,チオール基が活性酸素により酸化されており,チオール化合物によって酸素プラズマを感受している可能性が示された. (2)増殖メカニズム(山下担当):免疫細胞が酸素プラズマ照射により増殖促進するメカニズムを遺伝子発現の観点から調べ、T細胞への酸素プラズマ照射から免疫細胞活性化までの反応経路を調べた.その結果,ERKをリン酸化する反応を触媒する酵素をコードする遺伝子の(FOS mRNA)発現量の増加,細胞周期に関係するサイクリンが活性化する結果が得られた. (3)免疫機能活性化メカニズム(林担当):酸素プラズマによりT細胞の機能活性化メカニズムを明らかにするために,マイクロアレイを用いてプラズマ照射によるT細胞の遺伝子発現変動を調べ,活性酸素種のT細胞への効果を網羅的に解析した.その結果,サイトカイン(IFN-γ)産生に関係するIFNG遺伝子の発現量は低下し,Th2への分化の際に発現する遺伝子Nfil3およびIL-4の発現変動量が増加することが明らかとなった.酸素プラズマ照射によりT細胞は最終的にTh2細胞へと分化する. 以上より,免疫細胞の酸素プラズマ感受機構および増殖・活性制御メカニズムから,酸素プラズマにより生じる免疫細胞内反応の経路が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は,T細胞の増殖メカニズムと免疫機能活性化メカニズムの調査を,IFN-gamma放出量のELISA計測,IRF4およびIRF8遺伝子のPCR計測,および網羅的な解析として遺伝子発現解析を行う予定であった. 本年度中に,上記の計測に必要な試薬を入手できず,また遺伝子発現解析については解析可能なサンプルの数が当初想定していた数量よりも少なくなった. 従って,上記計測や解析に換えて,増殖メカニズムについてはFOS mRNAのPCR計測,活性化・分化メカニズムについてはNfil3,IL4,IFNGの各PCR計測を行った. その後,試薬類を入手した後に,当初予定していた計測や解析を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より,酸素プラズマを照射したEL-4T細胞は増殖が促進し免疫機能の向上が確認された.この時,T細胞はこれまで試みたすべてのプラズマ条件下で,naive CD4+T細胞からTh2細胞へ分化しIL-4を顕著に放出することが明らかとなった.しかしながら,生体の免疫バランスを正常に保つためにはTh1/Th2比が変化しないように,Th1細胞へ分化するプラズマ条件を明らかにする必要がある. 今後は,プラズマを照射したT細胞にからのIFN-gamma量の計測や,Th1細胞への分化に関わる遺伝子t-betの発現量を調べることにより,Th1への分化の可能性および条件を明らかにする.
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Research Products
(26 results)