2021 Fiscal Year Annual Research Report
High vertical resolution observation of planetary atmospheres by radio occultation
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20H01958
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 剛 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40311170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 紘基 京都産業大学, 理学部, 助教 (00706335)
野口 克行 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (20397839)
神山 徹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (40645876)
小郷原 一智 京都産業大学, 理学部, 准教授 (50644853)
杉山 耕一朗 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (60463733)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電波掩蔽 / 金星 / 火星 / 大気 / メソスケール / 数値モデル / 大気重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
電波掩蔽データ解析に置いて、従来の幾何光学解法ではなく電波ホログラフィ法を用いることによって、高度分解能100m程度で温度プロファイルを得ることが可能である。このことにより、短波長重力波などによって作られる薄い層構造を検出するとともに、多重波伝搬のために正しく計測できなかった対流層上端の温度極小の構造をとらえることができる。我々は電波掩蔽解析の新手法である「電波ホログラフィ」を金星探査機あかつき、Venus Express、火星探査機Mars Global Surveyorの大規模なデータに適用し、これまでにない高鉛直分解能で惑星大気の大気構造を明らかにしてきた。短鉛直波長の重力波、その砕波が作る極薄の乱流層、対流プルームが安定層を押し上げる不連続面、地表近くの超安定層などのグローバルを明らかにした。火星の電波掩蔽観測データから極夜域における気温の鉛直分布を試験的に導出し、重力波によると思われる擾乱構造を抽出したうえで、CO2過飽和や大気安定度との関連を調べた。 平行して金星探査機・火星探査機による画像データの解析を進め、金星大気の熱潮汐波の構造、金星大気温度の長期変動、火星のダストストームや氷雲と周囲の気象場の関係を明らかにした。観測データ解析と平行して、山岳波を計算可能な地形に沿った座標系を採用した不等間隔格子用計算モジュールを開発し、汎惑星大気雲解像モデル deepconv (https://gfd-dennou.org/arch/deepconv/) への組込を行った。金星大気の条件で計算を行い、山岳波を再現できることを確かめた。幅広いパラメータ条件で数値実験を行うことにより、惑星ごとの大気密度などの違いがこれらの大気現象にどのような違いをもたらすのかを議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金星探査機あかつき、火星探査機Mars Global Surveyorの電波掩蔽データを新たな手法で解析し、短鉛直波長の大気重力波、その砕波が作る極薄の乱流層、地表近くの超安定層などの分布を明らかにした。 金星の電波掩蔽データを用いて、気温と電波強度の鉛直分布を導出し、重力波の固有周期や水平波長などの推定を行った。さらに金星の雲層高度から上下両方に鉛直伝播する熱潮汐波を抽出した。 火星の電波掩蔽観測データから極夜域における気温の鉛直分布を試験的に導出し、重力波によると擾乱構造を抽出したうえで、二酸化炭素の過飽和や大気安定度との関連を調べた。 金星探査機あかつき搭載の中間赤外カメラLIRの長期観測データをを用いて、熱潮汐波の位相や鉛直波長を推定した。 火星探査機Mars Global Surveyor搭載のMars Orbiter Cameraによる可視画像を用いてダストストームを検出し、大気環境との相関を調べたところ、火星北半球では北半球冬期に発生する傾向があり、傾圧波動の暖気中で発生する傾向にあることが分かった。同地域には風下山岳波起源の波状雲が多発することもわかった。 これらの実データ解析を両輪をなす数値モデル開発として、山岳波を計算可能とするために、地形に沿った座標系を採用した不等間隔格子用計算モジュールを開発し、汎惑星大気雲解像モデル deepconv への組込を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
電波掩蔽データ解析の自動化を進め、より多くのデータを統計解析することにより、対流層や重力波の全球分布と地域・季節・地方時への依存性を明らかにする。また、火星については山岳波の励起と鉛直伝播の背景場依存性を明らかにする。金星の電波掩蔽データから熱潮汐波による角運動量輸送量を定量し、金星大気スーパーローテーションの生成・維持に熱潮汐波がどれだけ寄与しているか、過去のモデル研究と比較しながら調べる。 金星大気の電波掩蔽データからの重力波の抽出を進め、過去の光学的観測で得られている大気重力波パラメータとも比較のうえ、金星大気においてどのような大気重力波が卓越しているかを明らかにする。 中間赤外カメラと電波掩蔽データを組み合わせ、数値計算と比較することにより、金星大気中の熱潮汐波の3次元構造や伝搬の様子が3次元的に推定する。 火星のArcadia平原西部のlocal dust stormは傾圧波動の暖気中で発生しやすいことは明らかになったが、その傾圧波動のモードは極度に地表近くにトラップされていた。同緯度の別地域や同地域の別期間も対象にダストストームの発生と傾圧波動の位相の関係を確認する。 数値モデルの高度化として、雲解像モデル deepconv に対して、計算効率の向上のための改良と、金星・火星の地形を導入するためのモジュール開発を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] The nightside cloud-top circulation of the atmosphere of Venus2021
Author(s)
Fukuya Kiichi、Imamura Takeshi、Taguchi Makoto、Fukuhara Tetsuya、Kouyama Toru、Horinouchi Takeshi、Peralta Javier、Futaguchi Masahiko、Yamada Takeru、Sato Takao M.、Yamazaki Atsushi、Murakami Shin-ya、Satoh Takehiko、Takagi Masahiro、Nakamura Masato et al.
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Journal Title
Nature
Volume: 595
Pages: 511~515
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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