2020 Fiscal Year Annual Research Report
雪氷物理モデリングに基づく建築都市の積雪量の効率的ハイブリッド制御手法の構築
Project/Area Number |
20H02315
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
富永 禎秀 新潟工科大学, 工学部, 教授 (00278079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 賢次 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (20715180)
涌井 将貴 新潟工科大学, 工学部, 講師 (40778205)
本吉 弘岐 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任研究員 (70571462)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 積雪分布 / モデリング / CFD / 都市・建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずは建築都市を対象とした雪氷物理モデリングの精度向上を図るため、本年度は、特に①降雪・飛雪過程(風と雪の相互作用)のモデリング、②自然融雪過程のモデリングに力点をおいて研究を進めた。 ①はCFDを用いた風による屋根雪荷重偏分布の基本的なモデリング手法であり、前科研費の成果として既に確立されている。しかし、従来は雪粒子を群として扱うオイラー型の解析手法を採用しており、多様な気象条件に対する雪粒子の特性変化を考慮することが困難であった。今年度は、雪粒子の個々の運動方程式を解き、その挙動を解析するラグランジェ型の解析を適用し、その屋根雪分布予測における有効性を検証した。その結果、オイラー法では、風上側の軒先や棟の風下側での侵食の再現が不充分であること、ラグランジュ法では、粒子が風上側で反発し風下側に付着するため、風上側が少なく、風下側が多くなるという、それぞれの方法のメリット・デメリットが明確になった。また②については、気象データと熱収支解析に基づく雪荷重予測モデルを構築し、積雪重量の観測データとの比較によりその精度を検証した。 冬期には、2019年度までの科研費研究の一環として防災科学技術研究所・雪氷防災研究センター(長岡市)に設置した準実大スケール建物モデルを引き続き活用し、積雪深、積雪荷重及び融雪量等のフィールド実測調査を行い、基本的データを採取した。赤外線距離計を利用した積雪分布の測定も同時に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定通りの進捗状況であったと考えている。まず風による偏分布のCFDモデリング手法の検討については、従来の解析では考慮していなかった雪粒子の反発や跳躍と知った複雑な挙動を再現するラグランジアン法を採用した積雪分布予測モデルを構築した。また気象データと熱収支解析に基づく雪荷重予測モデルを構築し、その検証結果を査読付き論文として発表した。これらの成果は、今後のモデル開発やモデルに現れる各種のパラメータを最適化する際に活用できるものと期待される。 さらにモデル検証用データ収集のためのフィールド実測調査を、長岡市の防災科学技術研究所・雪氷防災研究センターの露場において引き続き実施した。今冬は久しぶりの大雪であり、大雪時の屋根積雪重量の貴重な観測結果を得た。今後の研究に活用できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初計画の方法で研究を推進する予定である。これまでの積雪分布モデリングの研究成果の、より複雑な建物形状や気象条件への適用性を確認し、必要な修正を加える。また初年度の成果を基に、複雑な建物群を対象として、パラメトリックスタディによる感度解析を行い、積雪分布の予測ツールの完成度を高める。 またモデリング精度を検討するためには、観測結果との比較・検証が不可欠である。その姿勢を堅守して、信頼性の高い実験か屋外観測を実施することによって、基礎的なデータも蓄積していきたい。
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Research Products
(8 results)