2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of wind pressure distribution of low-rise buildings in urban area and its influencing parameters based on full-scale measurement during typhoons
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20H02415
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西嶋 一欽 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80721969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 教授 (00190570)
林 泰一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (10111981)
高橋 徹 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (10226855)
友清 衣利子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (30346829)
伊藤 耕介 琉球大学, 理学部, 准教授 (10634123)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 風圧 / 実測 / 低層建築物 / 都市型強風災害 / リスク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年台風による強風被害が頻発しているが、住宅等が密集している都市部の低層建築物に対しては強風被害の直接的なハザード指標である風圧が実測されておらず、作用する真の風圧は不明である。そこで、本研究では、都市部に位置する低層建築物に作用する風圧を実測することで、その風圧特性と影響因子を解明することを目的とする。 1年目である本年度は、(1)風圧計測デバイスのハウジング最適化、(2)実大建物での計測デバイスの精度検証、(3)実測のための計測デバイス設置候補建物の選定を行った。具体的には、(1)について、これまでに開発した風圧計測デバイスを屋外環境で使用するために、圧力センサ部に空気を通しつつ水が侵入しない工夫を施しつつ、ハウジング自身によって局所的な風の流れの変化が生じず、本来計測したい圧力が計測できるように形状を最適化した。(2)について、ハウジングを装着した風圧計測デバイスを京都大学防災研究所潮岬風力実験所本館に設置し2020年9月3日~12月10日に風圧を実測した。この間、台風14号による強風時の風圧観測に成功した。得られた計測記録をすでに精度検証されている既存の計測システムによる記録と比較することで、最大15Pa程度の誤差で計測できていることを確認した。これは風速15m/s程度以上の強風下での実測において十分な精度である。また、この誤差の要因は用いた圧力センサの温度依存性に起因することを確認しており、より高精度に較正することでさらなる誤差低減が可能であることを示唆する結果が得られた。(3)について、2年目および3年目の実測に向けて、研究代表者及び分担者が分担し、沖縄、九州、四国、近畿、東海、関東の各地に合計41か所の設置候補建物を選定し、その中から最終候補を選定し、計測に関して所有者の了解を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた課題(1)風圧計測デバイスのハウジング最適化、(2)実大建物での計測デバイスの精度検証、(3)計測デバイス設置候補建物の選定を遂行した。(2)と(3)に関しては、計画通り遂行できた。(1)については、当初予定していた高粘着接着テープを用いたハウジングの屋根面への装着方法では、接着面に苔等が付着している場合に設計通りの接着強度が得られないことが判明した。この問題を解決するために、新たに機械的な手段で装着する方法を考案するとともに、これに関連して計測デバイス自体の小型化を試みた。小型化に際しては、既存の商用マイコンのエコシステムに適合するように改良したことで、商用マイコンに追加モジュールとして装着できるように工夫した。これにより、一般に流通している他の商用マイコンモジュールと併用したり、風圧実測以外の汎用アナログセンサからの出力を高精度に記録するロガーとしても利用することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目である本年度は、(1)台風襲来時に低層建築物に作用する風圧の実測ならびに分析、(2)台風襲来時の建築物周辺の風速の実測ならびに分析、(3)建築物周辺の遮蔽物のデータ取得、(4)それらのデータベース化、(5)分析結果を踏まえた風洞実験計画の立案を行う。具体的には、(1)については、デバイスの小型化とハウジングの最適化により実用化した風圧計測デバイスを用いて台風襲来時に低層建築物に作用する風圧を実測し、風圧特性を分析する。(2)については、風圧を実測する低層建築物周辺の風環境をドップラーライダおよび超音波風速計を用いて実測し、時刻歴および周波数特性を分析する。また、台風通過時のメソスケール気象場のうち、後続する風洞実験の接近流の設定に関する特徴を明らかにする。(3)については、3Dスキャナを用いて地上から周辺遮蔽物および風圧を実測した建築物の点群データを取得する。また、ドローンにより空撮画像を取得し点群処理解析を行うことにより、地上から得られない屋根形状などの点群データを取得する。また、これらを建築物・附属物・植生などに分類した上で、分類された情報を後続する風洞実験模型製作の際に利用する。(4)については、(1)~(3)のデータを空間位置座標を軸に相互に関連付けることで、研究者コミュニティで活用できるように整理する。(5)については、(2)で得られた分析結果から風洞実験に用いる接近流の設計、(3)で得られた周辺遮蔽物の類型化および模型製作方法の検討を行う。
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