2021 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of water vapor, wave height, and sea level in the East China Sea using ship-borne GNSS measurements
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20H02420
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
小司 禎教 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 室長 (70354446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 敏隆 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (30115886)
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 特定研究員 (80390590)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海洋観測 / 波浪 / 海面高度 / 水蒸気 / GNSS |
Outline of Annual Research Achievements |
全球衛星測位システム(GNSS)を活用して、全球で適用可能な水蒸気、波浪、海面高度を海上で統合観測するシステムの実現に向けた基礎研究に取り組んでいる。 2020年度は①観測・解析システムの最適化に関する検討、②測位誤差と水蒸気誤差の関連考察及び潮汐モデルを用いた水蒸気解析誤差改善の可能性検討、③GNSSアンテナの傾きが解析に与える影響評価のための慣性計測装置(IMU)購入と機器操作の習熟、④低コスト小型GNSS装置による水蒸気解析試験、⑤海洋上での水蒸気、波浪、海面高度のリアルタイム解析実験を行った。研究の成果は気象庁の気象観測船等におけるGNSS水蒸気観測に活用されている.通年の連続観測の結果、高層ゾンデや衛星搭載マイクロ波放射計などと比較し、二乗平均平方根(RMS)差3mm未満の一致度が得られている。一方、一定の頻度で異常値が解析されることも明らかとなった。 2021年度は異常値の原因を調べ、解析初期に含まれるマルチパス等異常データに起因する可能性が高いこと、GNSS解析で出力される遅延量勾配や事後残差の情報を用いて異常値の多くが判定できることがわかった。さらにマルチパスが、特定の入射角で発生していることから、異常が発生した場合に解析開始時刻をずらす異常値回避の手法を考案した。この成果も気象観測船等でのGNSS水蒸気観測に利用されることとなった。さらに、IMUと超小型PCを用いたGNSSアンテナの傾きを自動計測するシステムを構築し、2021年11月からGNSSに加えてIMUの観測を開始した。新型コロナ感染症の流行拡大により、データ回収が2022年3月まで延期となった。IMUの観測データは問題なく取得できており、今後詳細な解析を行う。GNSS測位で得られたGNSSアンテナの上下変動と、船舶搭載マイクロ波波高計との比較を実施し、両者の変動周期や振幅に相関があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
船舶搭載GNSS観測データを用いた水蒸気解析は、おおむね順調に進捗している。2020年4月の科研費開始当初は6隻で観測を行っていたが、2021年9月に機器を設置している船舶会社の事情で、一隻から機器を外し、2022年5月現在5隻体制で観測を行っている。 波浪や海面高度観測、および水蒸気解析へのアンテナの傾きの影響評価に必要なIMU観測については、機器の習熟、自動観測処理を構築し、2021年11月から観測を開始した。当初は2022年1月にデータを回収する予定であったが、新型コロナ感染症の拡大により、同年3月まで延期せざるを得なかった。観測は順調に推移しており、今後詳細な解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にのっとり、IMU観測データを併用した水蒸気観測への影響評価、波浪、海面高度解析の可能性について、研究開発を進める。 観測は2022年度は9月まで継続し、10月をめどに機器の撤去と観測を終了する。 2022年秋に、解析に利用している測位衛星の軌道情報MADOCA(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis) の仕様変更が計画されている。新たにGALILEOの軌道情報が加わる一方、衛星時計情報の時間間隔が2秒から5秒になるなど、水蒸気や測位解析への影響を評価する。 これまでの研究で、船舶搭載GNSS測位解析による上下変動が、船舶搭載波高計の観測と相関していることがわかった。今後はIMUによるGNSSアンテナの傾きの情報を用いることで、定量的な比較が可能か検討する。
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Research Products
(10 results)