2020 Fiscal Year Annual Research Report
空間展開された分光円偏光による逐次測定可能な高速円二色性スペクトルメータの開発
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20H02767
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
江本 顕雄 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任講師 (80509662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 智之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10388043)
八木下 史敏 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (80644624)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 円二色性 / CDスペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間初年度となる令和2年度は、申請書に記載の研究計画に基づき、可視-紫外領域で動作する偏光素子の開発を行った。次にこれを用いて、同波長領域で動作する逐次測定可能な高速円二色性スペクトルメータの構築を行い、提案手法の原理実証を行った。結果として、期待された信号特性を得ることができ、当該提案手法の有効性を確認することができた。 当該年度は、上記の実験に加えて、申請書に記載の深紫外対応の偏光素子の開発にも着手した。具体的には、低紫外線吸収媒体に基づく、偏光素子作製プロセスの検討を行った。結果として、所望の偏光素子を実現可能な有望なプロセスを実現することができた。 さらに、当該年度においては、構築した円二色性スペクトルメータの性能評価に好適なキラル分子の開発と合成を実施した。結果として、可視から深紫外に及ぶ広い波長領域において、比較的大きなCD値を発現する機能性分子を実現することができた。 また、これらの光計測技術が確立した際に、その逐次測定可能な高速動作の利点を生かして、微量の被測定物を搬送しながら分析するための、マイクロ流路作製技術の開発にも先行して取り組んだ。加えて、より多機能な偏光素子の実現に向けた検討も行い、有効な素子設計の指針を得ることとができた。 以上のように、研究期間初年度は、光学異方性のある物質を分析するための素子・測定系・物質・周辺デバイス・関連素子技術の研究を広範にわたって実施し、期待された結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、申請書に記載の研究計画に沿って研究を進行することができている。まず、可視波長域にて動作可能な偏光素子を試作し、これを用いて逐次測定可能な円二色性スペクトルメータの動作を検証した。次のこの測定波長範囲を紫外域まで拡張することができた。同時に、深紫外領域で動作可能な偏光素子の設計と試作について検討し、適用可能な作製プロセスを見出しており、これに基づいて偏光素子を試作し、測定波長範囲を拡張できると予想される。また、被測定資料となるキラル分子の開発も進んでいる。一方で、試料を搬送する流路チップ作製技術および、高機能な偏光素子の開発にも取り組んでおり、総合的に見て、概ね順調に推移していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、まず深紫外領域に対応した偏光素子の試作および動作検証を行う。これには、前年度見出された偏光素子作製プロセスを投入して、実施する。このプロセスが有効的に機能しない場合には、別途新たな有機系プロセスを投入して対応する。次に、これに基づき、逐次測定可能な高速円二色性スペクトルメータを構築する。これと、平行して、キラル物質の開発と当該技術による評価等を実施し、有効性の検証および材料開発を進める。同時に、被測定試料の搬送などを担うマイクロ流路デバイスの開発や新たな偏光機能性を実現する偏光素子の開発も、継続して取り組む計画である。
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Research Products
(6 results)