2021 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of genetic background unique to the Japanese on metabolism and physiological activities of functional food components
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20H02933
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 宜督 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (60324381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10330979)
増田 潤子 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (20424674) [Withdrawn]
佐藤 あやの 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (40303002)
中村 俊之 岡山大学, 環境生命科学学域, 助教 (90706988)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食品 / 生化学 / 代謝 / アルコール / 遺伝子 / ポリフェノール / アセトアルデヒド / イソチオシアネート |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、代表的な機能性食品成分であるケルセチンとイソチオシアネート(ITC)に注目して、日本人特有の遺伝的背景であるALDH2変異が機能性食品成分の代謝・生理機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。以下に、本年度の具体的な成果を示す。 1)昨年度確立した薬物代謝酵素活性が高い肝臓培養細胞モデル(マウスHepa1c1c7)を用いて、ケルセチン腸内細菌代謝物の3-ヒドロキシフェニル酢酸(OPAC)にALDH活性増強作用及びアセトアルデヒド毒性に対する保護作用を見出した。OPACは抗酸化作用を示さないだけでなく、Nrf2も活性化せず、AhR依存的に総ALDH活性を増強することにより、アセトアルデヒド誘導細胞毒性を緩和したことから、ポリフェノールのなかでも非常にユニークな生理活性発現機構を持つことが示唆された。 2)皮膚培養細胞モデル(ヒトHaCaT)を用いて、ケルセチンのアセトアルデヒドに対する保護作用とそのメカニズムを明らかにした。ケルセチンは第2相薬物代謝酵素群や細胞内グルタチオン量を上方調節することで細胞内抗酸化活性を増強し、アセトアルデヒド誘導酸化ストレスを軽減することが示唆された。 3)肝臓培養細胞モデルを用いて、米抽出物とα-トコフェロールの細胞内抗酸化活性の増強作用を見出した。抽出物レベルでは、白米に玄米と同等の抗酸化潜在能力があることが示唆された。 4)ALDH2ノックアウトマウスとLC-MS/MSを用いて、ケルセチン摂取後のケルセチン代謝物(グルクロン酸/硫酸抱合体)の血中動態を解析したところ、野生型とほぼ同様であることを観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成3年度もコロナ禍のため、学生を含めた研究室内の活動が昨年度前半大きく制限された。その結果、実験を当初の予定の7割程度しか遂行できなかったため。また、遠隔地の共同研究者との共同実験も1度しか行えず、非常に限定されたものしかできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、以下の二点を中心に進める。 1)ALDH2活性低下による機能性表現型の変化を、CRISPR-Cas9で樹立した遺伝子ノックアウト/ノックダウン細胞株だけでなく、ALDH2ノックアウトマウスを用いて解析する。 2)エタノールやアセトアルデヒドを単回だけでなく、慢性処理した際の機能性表現型の変化を、野生株とALDH活性低下株との比較により明らかにする。
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Research Products
(11 results)