2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規GPIアンカー型タンパク質からわかる精子の機能分化
Project/Area Number |
20H03163
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 玄 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (40243258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹尾 透 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (10517014)
岡本 宗裕 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 教授 (70177096)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マウス精子 / サル精子 / 受精 / 精子表面タンパク質 / 人工授精 / 体外受精 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、予備研究において同定した精子特異的GPI-AP(SpGPI-AP)の発現解析を進めた。その結果、精子集団は1分子の発現量の違いをもって2群(high精子とlow精子)にわかれることを示した。前年度までの重要な研究成果は、以下のとおりである。 1)精子集団からhigh精子を除去し、人工授精を行うと体内での受精率が向上した。このことからhigh精子は、体内での受精に抑制的に機能していることが示唆された。 2)300種類のモノクローナル抗体を用いてhigh精子の表面タンパク質の発現解析を行った。その結果、high精子では5種類のタンパク質の発現が特異的に上昇していた。このことからhigh精子の特異性が明らかになった。 3)サル精子についても同様の解析を行ったところマウスhigh精子で発現上昇しているタンパク質のいくつかはサル精子でも上昇していた。 最終年度は、high精子の出現機構について解析を進めた。その結果、high精子は、精子活性化の初期段階であるキャパシテーションを誘導するBSAや重炭酸イオンがなくても出現したが、Ca2+イオンが欠如すると出現しなかった。次に、従来からCa2+イオン依存的で知られる、精子活性化最終段階である先体反応との関連性を調べた。その結果、low精子では先体反応が誘導されたが、high精子では有意な誘導はみられなかった。さらにSpGPI-AP特異的モノクローナル抗体を用いた免疫電子顕微鏡観察をおこなったところ、SpGPI-APが精子膜表面に局在する精子が確認できた。さらに、このような精子では先体反応が誘導されていないことがわかった。これらのことから、high精子の出現は、Ca2+イオン依存的ではあるが、キャパシテーションや先体反応とは独立した事象であることがわかった。よって本研究から、哺乳動物には新たな受精制御機構が存在することが示唆された。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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