2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanism of biological phase separation
Project/Area Number |
20H03199
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
森 英一朗 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70803659)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 拓也 立命館大学, 生命科学部, 講師 (50779056)
齋尾 智英 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (80740802)
菊池 壮太郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90866386)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 天然変性タンパク質 / 生物学的相分離 / 液-液相分離 / LLPS / 低複雑性配列 / LCドメイン / 中間径フィラメント / cross-β polymer |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋症は、心臓の壁を構成する筋肉の構造と機能が障害される進行性の疾患であり、その多くは原因が不明である。一部の遺伝性心筋症の患者の中に、中間径フィラメントの一種であるDesmin遺伝子に異常を有する場合がある。Desminは、筋原線維の構造形成において重要な中間径フィラメントの蛋白質の 1 種である。また、Desminのみならず、神経特異的に発現している中間径フィラメントであるNeurofilamentsの遺伝子異常からCharcot-Marie-Tooth病やParkinson病等を引き起こすことからも、中間径フィラメントの総合的な理解が必要である。中間径フィラメントは、3つのドメイン(Head、Rod、Tail)に分類される。中央に位置するRodドメインはαヘリックス構造を有し、HeadドメインとTailドメインはLC(low-complexity;低複雑性)配列である。Desmin遺伝子異常では、構造を持つRodドメインのみならず、LC配列であるHeadドメインやTailドメインでも遺伝子変異の報告がある。よって、DesminのHeadドメインの構造解析を行うことで、Desmin変異による心筋症・ミオパチーの病態発症機序の分子構造レベルでの理解につながることが期待される。2種のタンパク質を結合させるインテイン反応の技術を中間径フィラメントに適応し、Headドメインのみを部分標識した上で固体NMR(solid state nuclear magnetic resonance:固体核磁気共鳴)法を用いてHeadドメインの構造解明を行った。結果、中間径フィラメントのHeadドメインがcross-βポリマーを形成していることが明らかとなった(PNAS 2021)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題により、以下の論文(10報)を発表した。 1) Iwasa N, et al. Front Cell Neurosci, in press. 2) Zhou X, et al. Proc Natl Acad Sci U S A 2021; 118(8): e2022121118. 3) Matsubayashi M, et al. FASEB J 2021; 35(1): e21262. 4) Shiota T, et al. bioRxiv 2020. doi: 10.1101/2020.10.14.338566 (preprint) 5) Kinugawa K, et al. bioRxiv 2020. doi: 10.1101/2020.09.02.279380 (preprint) 6) Ozawa S, et al. J Biol Chem 2020; 295(47): 16002-16012. 7) Smits LM, et al. Cell Tissue Res 2020; 382(3): 463-476. 8) Ito SS, et al. J Biol Chem 2020; 295(37): 12946-12961. 9) Okamura K, et al. Sci Rep 2020; 10(1): 11748. 10) Eura N, et al. Front Neurosci 2020; 14: 538.
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞の中では、タンパク質を含む多くの分子が非常に濃度の高い夾雑環境に存在している。このような条件を試験管内で再現し、その条件での分子の挙動を計測し、相分離制御の機序を明らかにする。具体的には、LCドメインによるcross-βポリマーの形成を、ヒドロゲル結合法や液滴形成による濁度計測法に加え、等温滴定型熱量測定法(ITC)、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)、分析用超遠心法(AUC)、核磁気共鳴法(NMR:固体・溶液)、X線小角散乱法(SAXS)、中性子小角散乱法(SANS)等に、適切な同位体ラベル法やインテイン反応、分子動態計算法(MD)を組合せて分子動態の解析に取り組む。また、相分離抑制シャペロンや相分離破綻ペプチドを組合せることで、制御と破綻の関連性についても検討を進める。また、毒性ポリペプチドによるオートファジーの誘導が非常に速いことが明らかになり、既知の経路との比較を行うことで、相分離を介したオートファジー制御の機序を解明に取り組む。
|
Research Products
(27 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 過剰自己貪食を伴うX 連鎖性ミオパチー(XMEA)の全国実態調査 Clinical features of X-linked myopathy with excessive autophagy (XMEA) in Japan: A nationwide survey.2020
Author(s)
杉江 和馬, 小牧 宏文, 倉重 毅志, 大熊 彩, 江浦 信之, 塩田 智, 井口 直彦, 松井 健, 阿部 達哉, 形岡 博史, 森 英一朗, 埜中 征哉, 西野 一三.
Organizer
第61回日本神経学会学術大会
-
-
-
-
-