2020 Fiscal Year Annual Research Report
A novel mechanism of spermatogenesis regulated by long noncoding RNA and multi-functional genome element
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20H03285
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 敦 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90422005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 炎 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 主幹研究員 (20280688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精子形成 / 長鎖非コードRNA / ゲノム / dual promoter-enhancer / 遺伝子発現調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精子形成の全容を理解することを目指して、一次精母細胞において長鎖非コードRNAと多機能性ゲノム(dual promoter-enhancer)が協働的に機能するという新しいメカニズムを、マウスを用いて検証するものである。計画初年度は以下のような成果が得られた。
まずは精巣特異的長鎖非コードRNAであるlncRNA-HSVIIIノックアウトマウスの表現型解析を行った。ホモノックアウトとヘテロノックアウトともにオスもメスも妊性は認められ、オスのノックアウトを親とした時の産仔数も野生型と有意な違いは認められなかった。精子の運動性について、新規に導入した精子運動解析システムを用いて解析したところ、こちらもヘテロノックアウト、ホモノックアウトとも野生型と有意な差は検出されなかった。さらに、成体マウスから精巣を取り出して組織切片を作製して観察したところ、ヘテロノックアウト、ホモノックアウトとも野生型と比べて顕著な表現型はみつかっていない。一方で、精巣上体尾部より単離した成熟精子の形態を観察した結果、ホモノックアウトで異常形態を示す精子が多い傾向が見られた。このことは、lncRNA-HSVIIIがマウスの正常な精子形成の進行に寄与することを示唆している。ただし、今年度の解析では、個体差が予想よりも大きいことも判明しており、次年度以降は解析する個体数を増やしてさらに検証する必要がある。
次に、lncRNA-HSVIII結合タンパク質の同定を行う実験に関しては、in vitro転写法によってビオチンラベルしたRNAを準備する段階まで進むことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の拡がりによって、研究室や実験生物施設への立ち入りが制限されたため、必要な数の実験動物を準備できずに、当初計画よりやや遅れ気味の進行となっている
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験を継続して、まずはlncRNA-HSVIIIノックアウトマウス精巣の基本的な表現型解析を完成させる。場合によっては、ヘテロノックアウトマウスは解析しないなどして、実験のスピードを速める。一方、lncRNA-HSVIII結合タンパク質の同定については、マウス精巣サンプルが十分に得られない場合に、精母細胞由来の培養細胞も用いるなどして、候補タンパク質の同定を行う。
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Research Products
(1 results)