2021 Fiscal Year Annual Research Report
A novel mechanism of spermatogenesis regulated by long noncoding RNA and multi-functional genome element
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20H03285
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 敦 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90422005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 炎 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 主幹研究員 (20280688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精子形成 / 長鎖非コードRNA / ゲノム / dual promoter-enhancer / 遺伝子発現調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精子形成の全容を理解することを目指して、一次精母細胞において長鎖非コードRNAと多機能性ゲノム(dual promoter-enhancer)が協働的に機能するという新しいメカニズムを、マウスを用いて検証するものである。計画の前半2年間では、まず精巣特異的長鎖非コードRNAであるlncRNA-HSVIIIノックアウトマウスの表現型解析を行うこととなっており、計画1年目では顕著な表現型をみつけることはできていなかった。これに対し、計画2年目である本年度は2カ月齢から12カ月齢のノックアウトマウスを解析することによってlncRNA-HSVIII欠損によると思われる表現型を見出した。具体的には、精子数が顕著に減少している個体がノックアウトのみで見出され、精巣切片の観察により異常な構造がノックアウトで顕著に多く見られることもわかった。さらに驚くべきことに、血中テストステロンレベルがノックアウトマウスで有意に減少していることも明らかになり、テストステロン合成に関わる複数の遺伝子の発現量がノックアウトマウスの精巣で減少していた。これらのことから、lncRNA-HSVIIIは生殖細胞のみならずライディッヒ細胞でも機能的であることが示唆される。一方、本年度は、lncRNA-HSVIII結合タンパク質の同定も進める予定であったが、COVID-19の影響もあって、昨年度準備したビオチン化lncRNA-HSVIIIと結合したタンパク質を得た段階で止まっている。環境が整えばすぐに質量分析を行う予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
lncRNA-HSVIII結合タンパク質の同定はCOVID-19の影響によりやや遅れているものの、ノックアウトマウスの表現型でテストステロンレベルの低下という予想以上の結果が得られたため、総合的に見て順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、lncRNA-HSVIII結合タンパク質の候補を質量分析によって同定し、実際に精巣生殖細胞内で結合しているものを同定する。また、lncRNA-HSVIIIによって制御される遺伝子群を同定するためにRNA-sequencing解析を行い、DPEによる制御を受けると予想される遺伝子群と比較する。さらに、lncRNA-HSVIIIを発現する培養細胞株の樹立にも着手する。
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Research Products
(1 results)