2020 Fiscal Year Annual Research Report
新規腱靭帯再生医療に向けた高機能靭帯節細胞誘導法の開発
Project/Area Number |
20H03803
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池谷 真 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (20442923)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上谷 大介 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (30462675)
趙 成珠 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (50778678)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 靭帯 / 再生医療 / 多能性幹細胞 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
腱・靭帯は再性能に乏しい組織であるため、障害が起こると放置しても治らない。iPS細胞などの幹細胞から腱・靭帯組織を誘導し、損傷部位を補填する方法が1つの手段として考えられるが、これまで腱・靭帯細胞を誘導するロバストな方法は存在しなかった。 申請者らは2018年に世界で初めてヒトiPS細胞から靭帯細胞の前段階の細胞である靱帯節細胞を誘導するプロトコールの開発に成功した(中島ら、2018、Development)。しかしこの細胞を将来の再生医療に応用するには、目的外細胞の混入、誘導過程での動物由来成分の使用、生体内機能の証明など、科学的に克服すべき課題が残されていた。そこで、これらの課題を解決するため、本提案では「①靭帯節誘導法からの動物由来成分の排除」、「②分化誘導効率の向上」、「③靭帯節細胞の濃縮法の開発」、「④立体的靭帯組織構築・成熟化」、「⑤移植による生体内機能の検証」、という5つの研究を提案した。 2020年度は、「①靭帯節誘導法からの動物由来成分の排除」の完了、「②分化誘導効率の向上」の検討開始、「③靭帯節細胞の濃縮法の開発」の検討開始、「④立体的靭帯組織構築・成熟化」のための立体構築条件の検討の完了、を年度計画として掲げた。このうち、①についてはこれまで使用していてフィーダーありのiPS細胞からフィーダーフリーiPS細胞へと変更し、また誘導培地とコート材に使用していたウシ血清アルブミンとマトリゲルを、それぞれウシ血清アルブミンを用いない培地とiMatrix511に変更することで達成した。また、②、③については条件検討を開始し、一部結果も出つつある。そして④の立体構築条件についても、Developmentに発表した動物由来成分を含む誘導法で誘導した靭帯節細胞を使っての検討がおおよそ完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に掲げた以下の計画は、全て順調に進めることができた。 「①靭帯節誘導法からの動物由来成分の排除」の完了(100%達成)、「②分化誘導効率の向上」の検討開始(100%達成)、「③靭帯節細胞の濃縮法の開発」の検討開始(100%達成)、「④立体的靭帯組織構築・成熟化」のための立体構築条件の検討の完了(100%達成)。 また、①と②の結果をまとめ、海外投稿論文として雑誌に投稿するに至った。 以上から、全て順調に進んだとして、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、「②分化誘導効率の向上」のうち、因子の最適化と誘導期間の短縮が困難となった場合、回避手段として2021年度にレポーターiPS細胞の作製、2022年度にスクリーニングの実施を計画していた。しかし、2020年度の因子の最適化と誘導期間の短縮が予想以上にうまく進んでいることから、進捗によっては、レポーターiPS細胞の作製とスクリーニングは実施せず、「⑤移植による生体内機能確認」に集中できる可能性がある。
|