2021 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analyses of time-specific mechanisms of spermatogonial stem cell development and novel strategy for reproductive medicine
Project/Area Number |
20H03816
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水野 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70448710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神沢 英幸 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00551277)
加藤 大貴 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (00620931)
西尾 英紀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10621063)
林 祐太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40238134)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
岩月 正一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70595397)
梅本 幸裕 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80381812)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精子幹細胞 / 停留精巣 / 男性不妊症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、精子形成に重要な役割を持つ「精子幹細胞」の分化メカニズムと男性不妊症における幹細胞の挙動を明らかにし、生殖医療への応用をめざすことを目的とする。そのため、(研究Ⅰ) 幼若精巣における精子幹細胞分化にかかわる因子の同定、(研究Ⅱ)成熟精巣における精子幹細胞の特異的形質変化の解析、(研究Ⅲ)幹細胞ニッチ構成細胞とニッチ形成因子の解析、を行う。精子幹細胞の分化異常をきたす停留精巣を対象として、それらの精巣組織の解析を進めている。 当初の計画では、mini-pubertyの有無によって症例を選別して解析する予定であったが、出生直後の採血を行うことができた症例がなかなか集積できていない。そこで本年度では、診断・手術時における精子幹細胞の状態を評価するために、当院で診療をおこなった症例の血中ホルモン値および精巣組織所見の解析を進めた。精巣組織は生検した組織を用い、精子幹細胞マーカーであるDDX4抗体を用いた免疫染色を行い、1精細管あたりのDDX4陽性細胞数を計測して行った。これらの検討から、片側症例では血中ホルモン値が組織所見を反映するマーカーになり得ず、また評価する年齢によっても大きく変動することが明らかとなった。一方、両側の停留精巣症例で、生後2歳までに精巣組織を評価できた症例に関して検討すると、血中ホルモン値のうち、FSH、インヒビンB、AMH、が精子幹細胞数を反映するマーカーとなり得ることを見出すことができた。 また、精巣の体外培養系の作成に関して、専用のゲル作成を行い生後1-7日齢のラット精巣を用いて実験を行った。特異的マーカーを用いた免疫染色などにより、体外培養した精巣組織における幹細胞の評価を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、ヒト停留精巣を対象とし、出生後の定期的な性ホルモン(LH, FSH, インヒビンB, AMHなど)の採血を行い、その後、手術治療を行なった症例をmini-pubertyの有無によって2群に分けて検討を行う予定であった。しかし、思うように症例集積が進まないため、過去に治療を行った症例も含めて血中ホルモン値と精巣組織所見との関連について解析を行った。全ての症例で血中ホルモン値と精巣組織所見との関連を見出すことはできなかったが、一部の症例(生後2歳以下の両側症例)では有意差をもって血中ホルモン値(FSH、インヒビンB、AMH)が精子幹細胞数を反映することを見出すことができた。一方で、成人症例については、コロナ禍の影響もあり症例の集積が進まなかった。こちらも過去の症例の解析を行うなどの方策を検討中である。 体外培養系に関しても実際に実験を進める中で、精子幹細胞分化の評価が思うように進んでおらず、最近の知見を踏まえて、より特異的なマーカーを用いるなどの工夫を行っていくことを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Ⅰに関しては、これまで同様に、新規症例の集積は行っていく。また、前年度までの研究によって、過去の症例でも条件を整えることで評価が可能であることが判明したため、症例を厳選して保存検体を用いた解析を進めることを計画している。また、研究Ⅱでは造精機能障害モデル動物の精巣組織を体外培養して精子幹細胞の挙動を確認することを予定している。すなわち、モデル動物の精巣組織を摘出し、1-3mm角に細切したのち、MEMα, GlutaMax, KSRを含む培地・アガロースゲル上で気相液相鏡面培養を行う。使用する精巣組織は、胎児期および出生直後から生後1-7日までの幼若なものを使用する。培養した精巣組織中の精子幹細胞の評価には、より特異的なマーカー(GFRa1、Ngn3、Kit、ID4、ZBTB16など)の利用を試み、どのマーカーが良いかの評価を進めていく。また引き続き、培養開始の日齢が異なることで、その後の培養結果にどのような影響があるかについても検討したい。並行して、精巣を分散して構成細胞の特性、特に表面マーカーに対する特異抗体を用いたフローサイトメトリーを行い、日齢別の構成細胞の割合の変化についても検討を行う。
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Research Products
(12 results)