2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of factors affecting oral microbiome development in early life stage
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20H03901
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 喜久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石村 匡崇 九州大学, 大学病院, 助教 (10448417)
竹内 研時 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (10712680)
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20509591)
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
須磨 紫乃 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70759365)
影山 伸哉 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90822495)
朝川 美加李 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90852583)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔マイクロバイオーム / 早期ライフステージ / ディスバイオシス / 次々世代ロングリードシーケンス / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、令和2年1月から3月に福岡市東区保健所の4か月児健診を受診した乳児とその母親から採取した舌苔試料の解析を開始した。はじめに、一部の試料を用いて次世代シークエンサーIon PGMによる予備実験を行い、舌苔試料の品質を確認した。採取した試料からDNAを抽出したのち、PCR法を用いて細菌16S rRNA遺伝子のV1-V2領域を増幅し、Ion PGMを用いてその塩基配列を解読した。解読した塩基配列をもとに各試料中の細菌構成を明らかにしたところ、母親の舌苔マイクロバイオームは乳児と比較して菌種多様性(検出菌種数、Shannon index、Phylogenetic diversityなど)が有意に高くなっており、その細菌構成も大きく異なっていた(ANOSIM P value <0.001)。また、乳児の舌苔では乳児特異的な細菌種(Streptococcus perorisなど主にStreptococcus属の細菌種)が高い比率を占めていた。この結果は過去の報告と一致しており、サンプリングに問題はなく舌苔試料の品質は十分であることが確認された。そこで、ロングリードシークエンサーのPacBio SequelⅡを用いたより詳細な解析を行った。採取した全試料から抽出されたDNAを鋳型とし、PCR法を用いて細菌16S rRNA遺伝子の全長(V1-V 9領域)を増幅した。その後、PacBio SequelⅡにて増幅断片の塩基配列を高精度に同定し、各試料の中の細菌構成を詳細に同定した。現在は、得られたシークエンスデータのクオリティチェックならびに母親と4か月児の舌マイクロバイオームについての詳細な解析を行っている。また、本年度は1回目の追跡調査である1歳6か月児を対象とした調査も開始した。令和3年3月から5月に実施される福岡市東区保健所の1歳6か月児健診において口腔診査ならびに舌苔採取の計画を進め、令和3年3月に健康診査票と質問紙票から情報の取得を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は概ね順調に進んでいるが、新型コロナ感染の第3波の影響で、1歳6か月児歯科健診が集団健診ではなくなり、各診療所で個別に実施されることになり、1歳6か月児の追跡研究が極めて困難な状況となった。これに対して、福岡市ならびに福岡歯科医師会と協議を重ねて、4か月児健診で歯科健診を実施した幼児については九州大学が個別に集団健診が行えるようにすることで、追跡率は低下したものの5割の追跡率を確保できており、新型コロナ感染による決定的な影響を避けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、新型コロナ感染の影響で1歳6か月児歯科健診で追跡率が5割程度に低下したが、3歳児歯科健診の対象者を4か月児健診の受診者全体とすることで、4か月時から3歳時にかけての口腔マイクロバイオームの変化を追える数はかなりの400名は確保でき、また、1歳6か月児歯科健診での追跡率が5割程度であっても200名以上の乳幼児の口腔マイクロバイオームの4か月時から1歳6か月時の変化および1歳6か月時から3歳時の変化を解析できるので、当初の本研究の目的は十分に達成可能と思われる。
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