2021 Fiscal Year Annual Research Report
高温な気候曝露の循環器系疾患リスク評価とAIを利用した予測手法の構築
Project/Area Number |
20H03949
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大橋 唯太 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (80388917)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀卦川 幸浩 明星大学, 理工学部, 教授 (20409519)
井原 智彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
高根 雄也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80711952)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 急性循環器疾患 / 呼吸器疾患 / 気象・気候 / 大気汚染 / 発症・死亡リスク / 統計モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主体を構成する以下の3項目について研究を遂行することができた。 (1)過去10年間の循環器・呼吸器疾患の死亡率または外来患者数の変化と気象条件の関連性を、一般化線形モデルや一般化加法モデルといった統計モデル手法によって明らかにすることができた。 (2)都市気象-建物エネルギーモデルの建物躯体設定の修正作業等、モデルの改良作業をおこなった。その後、実測との比較検証によって、大阪市内で観測した建物室温データとよく合致するようになった。 (3)将来気候条件下における疾患リスクの予測に向けて、全球気候モデルに基づく将来気候計算結果(NCAR CESM Global Bias-Corrected CMIP5 Output)および地域気候モデルWRFを用いて、日本全国10km解像度での気温およびその他気象要素の将来予測のテスト計算を実施した。その結果、過去から将来にかけての気象要素の変化を計算することができた。 特に(1)については、呼吸器疾患の患者数に重要なパラメータとして予想される大気汚染濃度とも結び付けることができ、またコロナ感染拡大による人流抑制の影響とも疾患死亡の関係を分析することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療レセプトデータおよび死亡票データの分析と統計モデルの作成が今年度の主たる目標であったが、概ねそれが達成できた。また、複数の関連学会での学会発表、昨年度からの分析結果を学術論文として2編、投稿・受理・公表まで進めることができた。これと同時並行で、数値気象モデルの改良作業と、気候変動を加味した将来予測の準備にも着手することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を構成する以下の3項目について、研究を加速させていく。 (1)疾患発症リスクを予測するAI(機械学習)モデルの作成:過去の気象条件等と疾患患者数の関係を学習した予測モデルを作成する。気象条件に加えて人流パターンの重要性が明らかとなったため、新たなモバイルデータから地域メッシュ内の屋外と屋内の人口割合を時空間的に特定する手法を検討し、疾患発症との関連性を分析する。 (2)数値気象モデルによるシミュレーション結果の検証:都市気象-建物エネルギーモデルで計算される建物室温について、東京都区部で観測された室温データと比較検証をおこなう。モデルの再現性が確認されたあと、外気温から室温並びに温熱指標を予測する統計モデルを作成する。 (3)疾患発症リスクの将来予測のための準備:疾患発症リスクの将来予測のための計算設定を決定する。その後、過去の気候再現計算およびその精度検証に取り掛かる。 以上の結果について、特に(1)の研究テーマは完結に近づいているため、学術論文にまとめる。また、日本気象学会を予定とした本研究課題に関わる専門分科会を開催し、多くの研究者らとの意見交換や本研究課題の紹介を積極的におこなっていく。
|
Research Products
(9 results)