2022 Fiscal Year Annual Research Report
導波路協調型二次元通信の基礎研究とIoTセンサシステムへの応用
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20H04182
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
野田 聡人 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (60713386)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 二次元通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,シート状の薄い導波路を用いて電磁波を伝送する二次元通信において,特にIoT環境などへの応用を想定し,センサ端末などに対し,小型・低電力性を犠牲にすることなく通信機能を付与できるように,二次元通信の特異な伝送特性のもとで,従来の標準的アーキテクチャからどのように転換するべきかという問いを主題としている.令和4年度の計画は,前年度までの研究成果を踏まえて実際に通信用の小型回路モジュールを試作し,機能的な実証を行うことであった. 実績として,予定の部品調達の遅延による繰越・計画変更を経て,ワンチップマイクロコントローラ(MCU)の外形と同等程度の5mm角のサイズに通信回路を実装した.この通信回路モジュールは,外部インタフェースとして2つの端子のみが露出しており,この端子を介して直流電源と通信用パルス波形を同時に受信する.直流電源供給の機能を導波路側に担わせることを前提とした回路構成とすることで小型化を達成している.通信速度は最大3Mb/sであり,例えば1000サンプル毎秒以上の高速なセンサデータ等の通信にも充分な通信容量を有している. 開発した通信モジュール自体は小型化を優先した最小限の実装であり,これ自体にセンシング等の機能は搭載していない.しかし,採用したMCUには高速12bitアナログ/ディジタルコンバータやシリアル通信インタフェースが搭載されており,高サンプルレートなセンシングシステムへの応用も可能な自由度を有している.本モジュール用に開発したファームウェアを活かして今後の迅速な応用研究開発が見込まれる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
提案時予算計画から実際の配分額が削減されたことに伴い専用集積回路(LSI)の開発を断念したが,令和3年度中にメーカーよりリリースされた新型の市販マイクロコントローラ(MCU)チップを採用することで,研究実績概要に述べた通り3Mb/s以上の高速通信可能な,ワンチップLSI相当の寸法での通信回路モジュールを実現した.当該市販MCUは48MHzの高速クロックで動作可能であり,提案時に想定した専用LSIを開発する場合に比べても数倍の高速動作が可能なMCUコアである.結果的に当初想定を上回る成果に達している.
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Strategy for Future Research Activity |
今回実現した5mm角の小型高速通信モジュールを利用し,研究代表者が別途継続的に研究しているウェアラブルシステムへの応用なども含めた,当初想定を超えた広範な応用展開を目指した研究開発を推進していく.
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