2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring new functions of N2O-reducing bacteria by a novel culturing method and stable isotope probing: N2O mitigation and production of valuables
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20H04362
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30434327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 知行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20509533)
末永 俊和 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (80828377)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 亜酸化窒素 / 有価物 / N2O還元細菌 / アップサイクリング / 有機炭素 / 動力学的解析 / 脱窒 |
Outline of Annual Research Achievements |
省エネ型の窒素除去バイオリアクターに潜むN2O還元細菌の生理生態について検討を進めた。長期培養された集積バイオマスのN2O還元酵素をコードした機能遺伝子であるnosZによるキャラクタリゼーションを実施し、存在量およびnosZの転写活性が高いClade I nozZとClade II nosZに属するN2O還元細菌の同定に成功した。また、省エネ型のバイオリアクターに生息する活性の高い種類はどちらかに偏ることが無いことを知見として得た。さらに、clade I nosZに属するN2O還元細菌の分離培養に成功した。 また、15Nトレーサー法を利用して集積バイオマスのN2O生成・消費活性を定量した。集積バイオマスに存在するN2O還元細菌はN2Oの供給が律速であること、N2Oと亜硝酸イオンの共存下でも電子授受の競合は起こらないことが明らかになった。動力学的評価の結果、集積バイオマスが凝集化していることや生息する細菌固有の特徴のいずれかの理由により、N2Oを基質とした親和性を表すMonod定数は小さくないことが明らかになった。 次に、有機炭素の種類が脱窒性N2O還元細菌の動力学に及ぼす影響を評価した。N2O還元細菌の種類によっては、利用できる有機炭素のスペクトルが狭く、特定の有機炭素供給時のみで高いN2O消費活性を示すことが明らかになった。また、これらの種類は、ゲノム解析により有機炭素の代謝経路が限られていることを示唆した。 さらに、N2Oの消費と有価物の産生が可能な種類の集積化および分離培養を目指した。分離培養された種として、ポリヒドロキシアルカノエイトを産生できるメタン酸化細菌の生理学的特性を明らかにした。一方、この細菌はN2O還元酵素を有しておらず、N2O消費と有価物産生の双方を行う細菌獲得に向けた集積装置の改良が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、N2O還元細菌の動力学的解析および集積化のノウハウの蓄積を重点的に行ったことにより、有用な結果を効率的に得ることができた。さらに、動力学的解析に関する研究を担当する大学院学生を増員したことにより、予想を上回る成果が得られたと考えている。一方、コロナウイルス蔓延の影響により、本学の出張制限や共同研究先の研究受入の制限があったため、共同研究で進める予定であった安定同位体プロービング法を用いた微生物の機能・系統解析が予定通り行えず、若干遅延している状況である。安定同位体プロービング法に関しては、今年度集中的に研究を進める予定でいる。以上より、予定よりも早く進展している研究項目と若干遅延した研究項目があることに鑑み、おおむね順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、窒素除去バイオリアクターから分離培養に成功したN2O還元細菌の中には、系統学的に新奇なものを含んでいることから、この細菌を中心にゲノム解析、動力学的評価を鋭意行い、新しい知見を重点的に積み上げることを検討する。また、安定同位体プロービング法による活性のあるN2O還元細菌の同定に関しては、人員を増やして検討を進める予定である。さらに、活性の高いN2O還元細菌の同定に加え、有価物を産生可能なN2O還元細菌の探索の検討を継続して行う 昨年度より分担研究者の1名が転出となったが、ゲノム解析を継続して行い、連携の強化に努めた。さらなる研究の進展に向け、今年度は定例会議の回数を増やす。密に研究進捗を共有し、論文化を一層進められるように準備を進める。
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Research Products
(14 results)