2020 Fiscal Year Annual Research Report
Science of fairy chemicals and their application development
Project/Area Number |
20H05620
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
河岸 洋和 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (70183283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 敏幸 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10221904)
鈴木 智大 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (10649601)
室井 誠 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (30261168)
高橋 公咲 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (30374622)
謝 肖男 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (30610323)
野村 崇人 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (60373346)
伊藤 英人 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (70706704)
一家 崇志 静岡大学, 農学部, 准教授 (90580647)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | フェアリー化合物 / 植物ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
1. FCsの生合成経路・代謝経路・活性発現機構の解明:得られているFCs代謝産物のLC-MS/MSのよる定量法を開発し,イネにおける内生量の定量に成功した。FCsのシグナル因子・受容体の探索を行うため,シロイヌナズナの自然系統200以上からAHXに感受性が高い系統を選抜後,EMSによる変異原処理をした変異種子集団の作成を行った。AHXの受容体候補タンパク質であるイネのV-ATPase Bサブユニットの組換えタンパク質を作製し,AHXと本タンパク質の相互作用について解析中である。骨格起源の候補であるArgを含めた数種の同位体ラベルアミノ酸の取り込み実験を行い,骨格の起源がほぼ判明した。イネから得られたS-ICAr-Hを,ICAを処理したシロイヌナズナ,出芽酵母でも生成することを明らかにした。 2. FCsによる作物増産効果の分子機構の解明:イネコアコレクション107品種を対象にFCs内生量を定量した。コムギ2品種を対象に,FCs処理による低窒素施肥条件下での収量増加効果をフィールド栽培試験により検討した。 3. FCsの多彩な研究を支援する合成化学的アプローチ:プロセス合成の最適条件はほぼ確立した。FCsの窒素・炭素骨格の起源を明らかにするために必要となるグアニジノ基のみが15Nと13Cで完全にラベル化されたアルギニンは,グアニジン-13C, 15N3を原料に用い合成を達成した。AHX誘導体の気孔開口阻害活性を評価し,数種のAHX誘導体は気孔開口阻害活性をもつことを明らかにした。 4. 新たな展開:AHXが低酸素因子(HIF)の産生を阻害し,酸素誘導網膜症モデルマウスに対して網膜血管新生を抑制することを見出した。AOHがヒト表皮細胞の賦活化し,DNAマイクロアレイによって,賦活化関連遺伝子の発現が促進されることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FCsの骨格起源の候補であるArgを含めた数種の同位体ラベルアミノ酸の取り込み実験を行い,骨格の起源がほぼ判明し,イネから得られたS-ICAr-Hを,ICAを処理したシロイヌナズナ,出芽酵母でも生成することを明らかにした。また,コムギ2品種を対象に,FCs処理による低窒素施肥条件下での収量増加効果をフィールド栽培試験により検討した。さらに,AHXが低酸素因子(HIF)の産生を阻害し,酸素誘導網膜症モデルマウスに対して網膜血管新生を抑制することを見出し,AOHがヒト表皮細胞の賦活化し,DNAマイクロアレイによって,賦活化関連遺伝子の発現が促進されることが明らかにした。以上のように,計画通りあるいは計画以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. FCsの生合成経路・代謝経路・活性発現機構の解明:FCsのさらなる代謝産物を単離,構造を行い,植物中での内生の有無を確認し生物活性を明らかにする。イネ,シロイヌナズナ,コムラサキシメジにおけるFCsの生合成に関わると考えられる酵素を大腸菌等で異種発現し,FCsとの関係を検討する。生命情報学的手法を用いてAHXに関わる受容体およびシグナル因子の探索を行う。FCs化合物の超高感度質量分析法を用いて,化合物ライブラリーを使用し,FCsの内生量を減少または増加させる化合物のスクリーニングを行う。生体分子間相互作用解析システムを用い,各FCsをリガンドとして固定,特異的結合物質を探索し,受容体・シグナル因子の発見を目指す。FCsの動物細胞など,他の種類の細胞についても相互作用するタンパク質を探索する。同位体ラベルした各種生合成前駆体の取り込み実験を行い,FCsや他の塩基も同時に分析し,その窒素・炭素骨格の起源を明らかにする。 2. FCsによる作物増産効果の分子機構の解明:イネコアコレクションを対象にFCs内生量を質量分析により定量し,生合成に関わる遺伝要因をGWASにより明らかにする。メタボローム解析によりFCsに対する代謝応答を明らかにし,FCsの作用機序を解明する。FCsの温室またはフィールド環境下での栽培試験における検討する。 3. FCsの多彩な研究を支援する合成化学的アプローチ:FCsの生合成中間体として予想されるFCsリボシドの5'-triphosphate や5'-diphosphateの合成的供給を行い,植物における内生の有無を検証する。FCsの各種誘導体による構造と活性の情報蓄積を目的として各種誘導体合成を行う。 4. FCsの薬理効果をin vitro,in vivoでさらに検討する。
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Research Products
(16 results)