2023 Fiscal Year Annual Research Report
Interdisciplinary Empirical Research Project on Disfluent Utterance Patterns
Project/Area Number |
20H05630
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
定延 利之 京都大学, 文学研究科, 教授 (50235305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 岳彦 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90392539)
遠藤 智子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40724422)
舩橋 瑞貴 日本大学, 国際関係学部, 准教授 (20533475)
林 良子 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20347785)
モクタリ 明子 富山県立大学, 工学部, 講師 (90963413)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | (非)流暢性 / コミュニケーション / 誤用 / 言語障害 / 音声合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナのために開催が遅れた中間会議(2023年3月26日開催)で研究成果を暫定的にまとめて最終年度に備えると共に、和文論文集を出版し、さらに、最終成果物として約束している「非流暢性発話の教科書」「非流暢性発話の電子資料館」「英文の論文集」の準備を進めた。 より具体的に実績について述べると、4年目にあたる本年度は、本来予定されていたパネルディスカッション(国際語用論学会2023年7月10日)だけでなく、その他にワークショップ(プラハ・カレル大学5月4日~5日、関西言語学会第48回大会2023年6月10日)を開催し、研究成果の発信と研究情報交換につとめたと言える。 年度当初に交付申請書に記した、論文集1冊(『流暢性と非流暢性』)を出版し、また、文法と状況とのつながりについて、単著1冊(『やわらかい文法』)を出版できた。さらに、論文34編、講演5件、発表39件を通して、最新の研究成果を国内外に公開した。 研究期間の後半にさしかかったことで、成果に対する世間の反応も増え、機会をとらえて、国民一般への成果発信の場として活用した。依頼されて作成した、「非流暢性」に関する解説(web動画)は、非流暢性に関連する「キャラ」の解説と共に、京都大学国際高等教育院附属日本語・日本文化教育センターのe-learning教材になっている。また、FM湘南ナパサ「こちらラジオ番組制作部」にも録音の形で出演した(2024年1月16日(火)20:00~20:30 テーマ:フィラーの価値)。さらに、「ほとんど0円大学」のインタビューを受け、研究内容の一端を記事に紹介された。 京都大学アカデミックデイに参加し、「京都大学アカデミックディ賞」を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
健常母語話者の発話の非流暢性に規則性があることを実証的に示し、その一部を第二言語教育(日本語教育)に本格的に応用したの年がこの年である。その結果、予想していなかったさまざまな発展の糸口が見えてきた。これが「当初の計画以上に進展」と判断する最大の理由である。 一部の学習者の日本語は、日本語の非流暢性の教育を受けることで、学習者本来の非流暢性が母語話者のような目立たない非流暢性に転化され、自然さが大きく向上した。また、期待どおりの学習効果が得られなかった学習者の存在は、日本語の習熟度や母語ないし母方言の影響を予想させ、今後、さまざまな言語を母語とする、さまざまなレベルの学習者を対象とし、その効果を精査することで、学習者の日本語習熟レベルに応じた非流暢性教育カリキュラムを構築できる可能性が見えてきた。と同時に、非流暢性に関する日本語と外国語の対照研究の可能性も見えてきた。 他方、このような第二言語学習者の発話が、母語話者の発話と同じパターンを備えていても、意図性が感じられるために、求める効果が生まれないという、「意図性」にまつわる諸事情にも本格的な光を当てられられるようになった。我々は会話分析的な研究を通して、コミュニケーションの中で母語話者が自他の発話の非流暢性を時には利用しさえしている実態を明らかにできたが、それをすべて「目的達成のための意図的振る舞い」とみなすことにも問題があるということである。このことは言語障害を扱う脳神経科学研究において「意図的なことばは言語喪失されやすく、身体的・自動的なことばは頑健である」とされるバイヤルジェ-ジャクソン(Baillarger-Jackson)の法則ともつながる。「伝える」という、意図的伝達に基づく発話観ひいてはコミュニケーション行動観に代わる、新たな発話観・コミュニケーション観を構築する糸口である。さらにAI学習も順調な進展ぶりである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、最終成果物として約束している「非流暢性発話の教科書」「非流暢性発話の電子資料館」「英文の論文集」の準備を進める。 各班の研究実施計画は以下のとおりである。記述言語学班は、非流暢性を許容できる文法のあり方を、特に「談話」と「文」の関係を中心に明らかにする。コーパス言語学班は、非流暢性のアノテーション方法を拡大する方法論について検討する。その一例として、日本語の語内部でのとぎれと延伸について実態解明を続ける。会話分析班は、母語話者の非流暢性発話が現実のコミュニケーションの中で承認され、利用されさえする実体を引き続き明らかにする。言語教育班は、非流暢性発話教育が学習者の発話の自然さを向上させることを日本語母語話者のアンケート調査を通して実証的に示し、教科書を開発する。言語障害班は、引き続き言語障害の具体的症例について明らかにする。音声合成班は、これまでに開発してきた合成音声の自然さを問うアンケート調査の結果をまとめ、国際的な場で成果を発表する。さらに、合成音声の効果的な使用法について検討をおこなう。 また、各班がそれぞれの目標を達成するだけでなく、班どうしのインタラクションの機会を増やし、課題となることを洗い出して、研究が総花的にならないよう留意する。
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Research Products
(83 results)
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[Presentation] Cross Cultural Perception of Valence and Arousal2023
Author(s)
Erickson, Donna, Arbert Rilliard, Yongwei Li, Caroline Menezes, Shigeto Kawahara, Toshiyuki Sadanobu, Ryoko Hayashi, Takaaki Shochi, Joao Moraes, and Kerrie Obert.
Organizer
ICPhS 2023
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