2020 Fiscal Year Annual Research Report
Inclusive study on gravitational-wave astrophysics
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20H05639
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 順一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50212303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カンノン キップ 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50777886)
仏坂 健太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50867033)
伊藤 洋介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60443983)
茂山 俊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70211951)
道村 唯太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80747006)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 重力波 / データ解析 / 独立成分解析 / ブラックホール / 連星中性子星合体 / キロノバ / 数値相対論 / インフレーション宇宙論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は以下の三つの目的に関わる研究を遂行することにより、重力波宇宙物理学を包括的に推進することです。各目的ごとに本年度の研究実績を報告します。 目的Ⅰ 独立成分解析によるKAGRAデータ解析:KAGRAの環境モニターチームと協力してノイズの挿入テストを行い、環境モニターを使った線形ノイズ除去に成功しました。また、GEO600検出器とKAGRAの共同観測の解析をCannon分担者開発のGstLALを用いて上野研究員が担当し、全体論文を完成させました。 目的Ⅱ 重力波によって発見されたブラックホールの起源の解明: 原始ブラックホール説の当否を明らかにするために重要となる初期密度ゆらぎのスペクトルと生成するブラックホールの質量分布の関係を明らかにするため、ゆらぎの窓関数の選択がもたらす不定性を明らかにしました。また、パルサータイミングアレイの報告したタイミングノイズが重力波由来のものであった場合に、原始ブラックホール説の当否にどのような影響が出るかを総合的な見地から解析し、総説論文を発表しました。 目的Ⅲ マルチメッセンジャー宇宙物理による連星中性子星合体の諸過程と重元素の起源の解明:マルチメッセンジャー宇宙物理学の電磁波対応天体の中核をなすキロノバ放射期物理過程解明に向け、仏坂分担者を中心として、原子コード、Hullac, GRASP2Kを用いてr過程元素の一つであるネオジム原子(Nd)のエネルギー準位、放射遷移率、再結合定数、衝突断面積などを計算しました。また、従来の超新星より明るく、速い時間変化を見せる突発天体が発見されたことにより、これとブラックホール形成現象との関連が議論され始めています。茂山分担者らはこれらの観測的な成果を踏まえて、大質量星末期の質量放出現象のモデル化とその後の重力崩壊による爆発現象に与える影響を記述し、観測と比較できるモデルを構築しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の根幹をなす重力波データ解析と数値相対論の計算に用いられる計算機クラスターの納入が新型コロナウイルスの蔓延により、遅れましたが、その間解析的に遂行可能な研究を中心に進めたため、おおむね順調に進捗しています。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカのパルサータイミングアレイグループNANOGravチームがの報告したタイミングノイズに有意な信号があることを報告したのは、予想外の出来事でしたが、それが本当に重力波由来のものであるか決着するまでには相当の年月が必要になる模様です。いかなる結果に落ち着いても対応できるよう、研究の幅を広げて対応する計画です。また、KAGRAの第四期観測開始が本計画申請時の当初予定よりも遅れていますが、第四期の間に初検出を実現できるよう独立成分解析の理論整備を進めます。
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Research Products
(23 results)