2022 Fiscal Year Annual Research Report
Paradigm shift in the method for observing non-equilibrium processes in real space: Elucidation of nucleation processes from solution by TEM
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20H05657
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 勇気 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50449542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 一学 京都大学, 国際高等教育院, 特定教授 (10374597)
川野 潤 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40378550)
田中 今日子 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (70377993)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 核生成 / ナノ粒子 / 透過型電子顕微鏡 / その場観察 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、溶液中の核生成に影響を与える要因の寄与の程度と物質依存性を解明し、核生成ルートを決めるキーファクターを見つけることを目的に研究を進めている。2022年度は、機械学習を取り入れた透過型電子顕微鏡(TEM)“その場”観察において、画像の鮮明化と核生成の早期検出のアプリケーションをTEMに実装した。これにより、結晶核をいち早く高分解能観察したり、素早く電子回折パターンを取得したりが可能となるため、データの質が飛躍的に高まることが期待される。従来は、偶然に核生成を観察できた数例で議論していたのに対して、十分なデータ数を使って定量的な議論を展開できるようになると期待される。 水中のナノ粒子がぼんやりと見える程度の不明瞭画像を, 水を取り払ったかのような明瞭な画像に改善する手法を考案し、これまで可視化できなかった水中のナノメートルスケールの普遍的な動的挙動を捉えるアプリケーションの開発を進めている。 水和層の無い気相からの核生成実験においては、2019-20年度に観測ロケットを用いた微小重力実験を宇宙航空研究開発機構と、アメリカ航空宇宙局(NASA)との国際共同研究で実施した、シリカ粒子核生成実験の成果を論文として公表した。特にシリカダストの生成効率に直結する付着確率は~1%と、従来想定されている~100%に比べて二桁小さな値であり、シリカダストの形成は非効率であることを明らかにした。これは、星周環境では、小さなケイ酸塩ダストが多数生成することを示す成果である。同様に、中心に炭化チタンのナノ結晶を持つ炭素質粒子は、ナノ領域特有の現象の一つである融合成長など、非古典的な過程を含む多段階の核生成過程を経て形成することを明らかにした。これは、隕石中に見つかるプレソーラー粒子や天体観測で検出されるダストの形成過程に新たな解釈を与える成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の計画を以下の通り達成したために、順調に進展していると判断した。 計画1:機械学習は、如何に多くの教師データを用意できるかが重要となる。 実績:液体セル透過電子顕微鏡を用いたその場観察実験で、溶液中で起こる核生成イベントを早期に検出するシステムを開発した。塩化ナトリウム結晶の核生成に適用した結果、人間が動画を何度も見返して検出するのと同等の検出率を機械学習で実現した。さらに、成長する粒子の大きさの時間変化を解析した結果、準安定相経由の核生成過程を経ていることを発見した。このシステムを透過型電子顕微鏡に実装し、リアルタイムで運用できるようにした。 計画2:溶液からの核生成では、水和層が重要な役割を果たしていると考えられている。そこで、水和層のない気相からの核生成実験を行い、その過程を干渉計でその場観察して核生成時の温度、圧力と過飽和度増加の時間スケールから核生成理論式に必須の物理量を求め、水溶液実験と比較するためのデータを取得する。 実績:様々な分野で重要となる酸化シリコンの核生成実験を行い、その結果をThe Astrophysical Journal Lettersで公表した。また、中心に炭化チタンのナノ結晶を持つ炭素質粒子の形成過程を再現した。その過程を独自のレーザー干渉装置で調べたところ、この粒子の形成は、ナノ領域特有の現象の一つである融合成長など、非古典的な過程を含む多段階の核生成過程を経ることを明らかにした。この成果はScience Advancesで公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では全く新規に機械学習を取り入れたTEM“その場”観察の研究をスタートさせた。1年半で、画像の鮮明化、核生成の早期検出、粒子サイズ計測を機械学習に任せられるようになった。3年目には、これら3つのアプリケーションを我々が専有するTEMに実装した。これにより、リアルタイム画像改善・計測によって, 動的な核生成や化学反応の観察などにおいて、その時々に観察すべき時空間をガイドすることができるようになった。本年度は、このシステムを用いて、結晶核をいち早く高分解能観察したり、素早く電子回折パターンを取得したりするなど、質の高いデータを継続的に取得する。機械学習の教師データの収集効率も飛躍的に高まることが期待されるため、機械学習の質も高まるという好循環が生まれる。従来は、偶然に核生成を観察できた数例で議論していたのに対して、十分なデータ数を使って定量的な議論を展開できるようになると期待される。さらに、改善された画像から人間が特徴を見出すことで新たな知見の獲得へとつなげる。 並行して、水中のナノ粒子がぼんやりと見える程度の不明瞭画像を, 水を取り払ったかのような明瞭な画像に改善する手法を考案する。これにより、これまで可視化できなかった水中のナノメートルスケールの普遍的な動的挙動を確実にとらえられる手法を確立する。 同時に、水和層の無い気相からの核生成実験を行う。干渉計を用いて核生成時の温度、圧力と過飽和度増加の時間スケールから核生成理論式に必須の物理量(表面自由エネルギーと付着確率)を求め、この値を水溶液実験と比較することで水和層の影響だけを抽出する。
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Research Products
(46 results)
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[Book] Chiral ice crystals in space2022
Author(s)
Akira Kouchi, Tomoya Yamazaki, Masashi Tsuge, Naoki Nakatani, Kenji Furuya, Hiromasa Niinomi, Yasuhiro Oba, Tetsuya Hama, Hiroyasu Katsuno, Naoki Watanabe, Yuki Kimura
Total Pages
20
Publisher
IntechOpen
ISBN
978-1-80356-840-9
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