• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Annual Research Report

匂いに基づき快・不快の情動を生み出す神経回路メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 20J00264
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

染谷 真琴  国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2020-04-24 – 2023-03-31
Keywords嗅覚情報処理 / カルシウムイメージング / 光遺伝学 / ショウジョウバエ
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、哺乳類と類似した構造と機能を備えながらも、少数の細胞で構成されるショウジョウバエの嗅覚系に着目して、物理化学的な匂い情報に基づき快・不快の情動を生み出す情報変換とその神経回路基盤を解明することを目指す。具体的には、物理化学的な匂い情報を表現する一次嗅覚中枢と快・不快の決定に重要とされる二次中枢の側角からほぼ全ての神経細胞の活動を計測し比較することで、側角において匂い情報が情動情報に変換されるという仮説を検証する。
昨年度は、包括的な神経活動計測と光遺伝学を用いた細胞標識手法の確立を目指した。具体的には、まず、全ての神経細胞にカルシウム指示薬を発現させ、空間解像度とシグナルノイズ比を向上させた二光子顕微鏡を使用してカルシウムイメージング法により数百の細胞から匂い応答を計測した。その後、特定の波長の光を当てることで蛍光を発するようになる光活性化型蛍光タンパク質(Photo-Activatable Green Fluorescent Protein: PAGFP)を用いて、二光子励起により側角の神経節でのみPAGFPを活性化させた。活性化されたPAGFPが細胞体に拡散するため、その蛍光シグナルに基づいて側角細胞を同定した。この手法を確立させるために、匂い刺激提示時の画像取得条件、およびPAGFPを活性化させるための光刺激条件を探索する必要があるが、それぞれ適切な条件を選定することができた。
次に、この条件検討のための予備実験で得られたカルシウムイメージングデータおよびPAGFP活性化前後の形態画像データを使用して、匂い提示中の神経活動を自動抽出し、活性化されたPAGPFで標識された細胞体を検出するプログラムを構築した。これにより、側角細胞の匂い応答を検出することに成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度は、カルシウムイメージングと細胞標識手法に注力し、どちらも適切な条件を選定し、本研究に必須な実験手法を確立させることができたため。加えて、画像データから個々の細胞の神経活動を抽出し、その中から活性化されたPAGFPで標識された細胞体を選出するプログラムの構築にも成功したため。

Strategy for Future Research Activity

来年度は、昨年度確立させたカルシウムイメージング法および細胞標識手法を使用して一次嗅覚中枢および二次嗅覚中枢から包括的に匂い応答を計測する。一次嗅覚および二次嗅覚中枢の匂い応答を、一細胞レベルおよび集団レベルで解析・比較する。仮説通り、側角で快・不快の情動情報が表現される場合、単一細胞に対してPAGFPによる標識を実施することで、快・不快の情動を表現する側角細胞の形態を可視化する。既に特定の側角細胞のみを標識するショウジョウバエ系統が多数作成され、形態情報がデータベース化されているため、それに基づいてPAGFPで標識された側角細胞と類似した細胞を標識する系統を同定する。この系統に対して光遺伝学的手法を適用することで、側角で行われる匂い情報処理と行動との因果関係を検証する。

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi