2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J00434
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 美裕 金沢大学, 理工研究域数物科学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 保型表現 / 保型L関数 / 保型形式の周期 / 概均質ベクトル空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 保型形式の周期と保型L関数の解析的性質の間の関係を明らかにすることであり, 2つの課題に取り組んでいる. 1つ目は周期に関する従来の研究を拡張, 拡充する研究である. 本年度は, 北海道大学の田森好宥氏との共同研究において, アルキメデス局所体上の一般線型群とその内部形式の表現が線型周期を持つための条件を明らかにした. p進体上の一般線型群とその内部形式の表現に対する同様の問題は, プラサド-タクルー=ビガシュ予想(PTB予想)として以前から知られており, これまでの研究でp=2の場合を除いて解決済みであった. p進群の場合の証明ではマッキー理論が重要な役割を果たしたが, アルキメデス局所体上の群では表現空間の位相を考慮に入れる必要があるため, 同様の手法を用いるためには, さらなる工夫が必要である。本研究では, シュワルツホモロジーの理論を使って, この問題を解決することができた. 2つ目の研究課題は, 保型形式の周期の分布に関する研究である. 本年度の研究では, 有理数体上の定値四元数体の代数的保型形式に対して, そのトーラス周期の非消滅と符号変化について考察した. 非消滅に関しては, アイヒラー整環のレベルと代数的保型形式のガロア軌道に関する条件のもとで, 0でないトーラス周期が正の割合存在することを示した. これは, 楕円曲線のL関数の特殊値に関する弱ゴールドフェルト予想の類似と見ることができる. また, 符号変化については, 前年度の研究で示したトーラス周期の平均値公式と, 周期を係数にもつディリクレ級数の解析性を使って, トーラス周期の符号変化が無限回起こることを示した. ここでいうトーラス周期は, 重さ半整数の正則保型形式のフーリエ係数になるので, フーリエ係数の符号変化に関するコーネンの予想の特殊な場合に証明を与えたことになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所体上の群の表現の周期に関する研究では, 北海道大学の田森好宥氏との共同研究において, アルキメデス局所体上の一般線型群とその内部形式の表現が線型周期を持つための条件を明らかにした. この結果は、前年度まで取り組んでいた非アルキメデス局所体上の一般線型群とその内部形式の表現に対するプラサドとタクルー=ビガシュの予想の, アルキメデス局所体における類似である. これは概ね当初の計画通りと言える. 保型形式の周期の分布に関する研究では, 有理数体上の定値四元数体の代数的保型形式に対して、そのトーラス周期の非消滅に関する次の結果を得た. アイヒラー整環のレベルと代数的保型形式のガロア軌道に関する条件のもとで, 0でないトーラス周期が正の割合存在することを示した. これは, 楕円曲線のL関数の特殊値に関する弱ゴールドフェルト予想の類似と見ることができる. また, 前年度までの研究で得られたトーラス周期の平均値公式と, 周期を係数にもつディリクレ級数の解析性を組み合わせることで, トーラス周期の符号変化が無限回起こることを示した. これは, 重さ半整数の正則保型形式のフーリエ係数の符号変化に関するコーネンの予想のある場合を与えている.
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Strategy for Future Research Activity |
1つ目の研究に関しては、局所体上の低次元の一般線型群とその内部形式に対して、線型周期を持つ表現を分類する。そのために、前年度までの研究で示した特殊な形のワイル群の元に対する絡周期積分の関数等式を、他のワイル群の元に対しても同様の関数等式を証明する。手法としては、相対截頭作用素を使ってアイゼンシュタイン級数の正規化された周期を定義し、これを保型形式の絡周期積分と結びつけ る等式を示す。これにより保型形式の絡周期積分の収束性と解析接続が示され、アイゼンシュタイン級数の関数等式から絡周期積分の関数等式 が得られる。この関数等式の局所成分を取り出すことで、局所体上でも類似の関数等式が得られる。既約表現のラングランズ分類に現われる標 準加群からの全射準同型は絡作用素で与えられるので、この関数等式に現われるガンマ因子の極と零点を調べることで、誘導表現の周期が既約 表現を経由するための条件が得られる。また、低次元群の場合の分類及び梯形表現などに対する分類に基づいて、一般の場合に線型周期を持つ 表現がどのように分類されるか予想する。 2つ目の研究に関しては、保型形式を組み込んだ概均質ゼータ関数の局所成分について、表現のテータ対応とそれに付随する周期の引き戻し公 式を使 った局所関数等式の理論を展開する。特に、局所体上のシンプレクティック群の表現に関する一般化シャライカ周期の重複度1定理及び 、一般化シャライカ周期から定まるベッセル関数の関数等式を証明する。このようにして整備した局所体上の理論に基づいて、代数体上の理論 を展開する。具体的には、得られた概均質ゼータ関数の局所関数等式に現われるガンマ因子を上から評価することで、保型形式を組み込んだ概 均質ゼータ関数の凸評価を示す。
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Research Products
(4 results)