2020 Fiscal Year Annual Research Report
海底カルデラにおいて特異に繰り返す火山性津波地震と海底火山活動様式の解明
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20J01689
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
三反畑 修 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波防災研究部門, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 海底火山 / 火山性地震 / 火山性津波 / カルデラ / マグマ溜まり / 断層破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)津波伝播速度の分散性および、海水圧縮性や密度構造、地球の弾性効果を考慮した津波の数値計算手法を用いて海底カルデラ火山における火山性津波地震に伴う津波に対して適用した。その手法・結果をまとめた論文を、Geophysical Journal Internationalに投稿した。 (2)日本南方沖の鳥島近海に位置するスミスカルデラで発生した火山性津波地震に対して、長周期地震波・津波の同時波形解析を用いて、地下浅くのマグマの圧力によって発生したカルデラ火山に特有の環状断層の破壊現象を示す震源モデルを構築し、「Trapdoor型断層破壊」のメカニズムを明らかにした。その手法・結果をまとめている。 (3)(2)で示した地震の震源モデルを参考に、火山性津波地震と同種のカルデラ火山特有の地震現象が持つ、特異な地震波励起特性について地震波動理論・数値計算を用いて調べ、その特徴を明らかにした。さらに新たな地震波解析を考案し、ガラパゴス諸島にあるシエラ・ネグラ火山において発生した地震の震源情報を推定することに成功した。この手法・結果をまとめた論文を、国際誌 Journal of Geophysical Research-Solid Earth に投稿した。 (4)日本南方沖の硫黄島近海にある海底火山において、小規模な津波を発生させるマグニチュード5程度の地震が繰り返していることを、地震波・津波記録から明らかにした(研究継続中)。 (5)オーストラリア国立大学・米国カリフォルニア工科大学と共同研究を行い、ハワイ島のカルデラ火山における地震に対して(3)で考案した地震波解析を適用し、その地震の震源情報を得ることに成功した。その成果を含む共著論文を、国際誌 Journal of Geophysical Research-Solid Earth に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画だった、スミスカルデラ・シエラネグラカルデラの研究が順調に進んだことに加え、北硫黄島近傍で同様の地震・津波現象を発見したことで、さらなる知見が獲得されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、北硫黄島近傍の地震による津波・地震波記録のデータ解析を進めるとともに、カルデラでのマグマ溜まり高圧化に伴う応力場および、それに起因して発生するTrapdoor断層破壊の地震現象の物理モデルの開発を進め、その規模・発生頻度・噴火との関連を定量的に調べる予定である。
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Research Products
(12 results)