2020 Fiscal Year Annual Research Report
Political Socialization in School: How Children Give Up Political and Social Engagement?
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20J10277
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 昌志 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 政治的社会化 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 親子調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,子どもの学校経験と,政治や社会に対する態度形成との関連を明らかにするものである。 2020年度前半においては,独自調査実施の準備として,中学生・高校生を対象とした既存社会調査データの二次分析を行った。使用したデータは,「NHK 中学生・高校生の生活と意識調査,2012」(NHK 放送文化研究所 世論調査部)である。二次分析は,東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブから個票データの提供を受けて実施した。分析の結果,子どもの政治関心と意見表明の規定要因が異なることを示した。政治関心は,出身階層が高い層における,社会や学校に適応的な子どもにおいて高い。一方,意見表明については,管理的な,自由が少なくきびしい教育を受けることが,子どもが意見を言うことをがまんすることにつながっている。子どもの政治や社会に対する態度形成を考える上で,日常的な学校教育,家庭教育の経験による意見表明の抑制に注目する必要があることを示した。この成果は,紀要論文として2021年3月に出版されている。 本研究の主要な研究データである,小学6年生~中学1年生の子どもとその母親を対象とした質問紙調査については,2020年12月に実施した。実施にあたって,所属研究機関の倫理審査委員会の承認を得た。現在,分析を進行している。2021年度においては,その追跡調査を実施する。また,両調査の成果報告についても,2021年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度においては,既存調査の二次分析,新規調査の設計,実施を行った。二次分析の結果は,先行研究において継続して注目されていた政治関心と,先行研究においては注目されていなかった意見表明の規定要因をそれぞれ明らかにし,新しい知見を発見した。分析結果を,本研究の独自調査の設計にも活かし,独自調査を2020年12月に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した第1波調査および2021年度に実施する予定の第2波調査の分析を進行する。とくに,政治疎外意識や政治知識の社会化過程の分析を行い,その成果を発表する予定である。
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