2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける好中球特異的前駆細胞の同定および好中球分化メカニズムの解明
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20J10680
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 雄介 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 骨髄系共通前駆細胞 (CMP) / 顆粒球単球前駆細胞 (GMP) / CD62L |
Outline of Annual Research Achievements |
既報のsingle-cell RNA sequencing dataを用いて、ヒト、マウスの骨髄系前駆細胞における分化の不均一性を規定する表面抗原としてCD62Lを新たに同定した。ヒト、マウス両方のCommon myeloid progenitor (CMP)において、CD62L-high CMPがgranulocyte-monocyte progenitor (GMP)への分化に偏っていることをin vitroのcolony formation assayで示し、かつin vivoにおいてもGFPマウスを用いた移植実験により、CD62L-low CMPと比較してCD62L-high CMPで血小板への分化能が低下していることを示した。また、CD62L-low CMPからCD62L-high CMPへ一方向性に分化することを示し、CMP内部の分化の階層構造をより詳細に解明した。加えて、マウスのCD62L-low CMP、CD62L-high CMPの遺伝子発現プロファイルをRNAシークエンスによって比較し、赤血球・血小板系遺伝子の発現がCD62L-low CMPで高く、好中球・単球系遺伝子の発現がCD62L-high CMPで高くなることを遺伝子発現レベルで示した。 次に、マウスのGMPにおいて、CD62L-negative GMPがGMP内で最も未分化な集団であることをcolony assay、遺伝子発現パターンを用いたGene set enrichment analysisで示した。また、CD62L-low GMPが好中球分化に偏ることをin vitroのcolony assayで示し、Ly5.1マウスから採取したGMPをLy5.2マウスに移植することで、CD62L-low GMPが有意に好中球分化に偏っていることをin vivoでも検証した。 以上により、CMP, GMP内における分化能の不均一性をCD62Lという表面マーカーを用いて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した分化の階層性の解明、RNAシークエンスデータを用いた遺伝子プロファイルの解析を行い、上記の結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシークエンスデータのさらなる解析、および感染症発症・抗癌剤投与下などの条件におけるマウスの骨髄系前駆細胞の動態解析を行う。
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