2020 Fiscal Year Annual Research Report
脈動オーロラに関する波動-粒子相互作用と電流構造の解明
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20J11829
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吹澤 瑞貴 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 波動-粒子相互作用 / 磁気圏 / 電離圏 / ピッチ角散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
あらせ衛星によって取得されたlower band chorus (LBC)、upper band chorus (UBC)、electron cyclotron harmonic (ECH) 波の振幅を横軸、電離圏に降下する電子フラックスの割合 (LCFR)を縦軸として粒子計測器の観測エネルギー毎に散布図を作成した。そして、LCFR をそれぞれの波動の振幅の関数として回帰直線を求めた。また、LCFR と波動強度の間の Kendall の順位相関係数を求めた。その結果、LBC、UBC、ECH波の回帰直線の傾きが正であり、かつ相関係数が統計的に有意な値を持つエネルギーは、それぞれ~2-20 keV、~1-9 keV、~0.1-2 keV であることが明らかとなった。この結果から、それぞれの波動が電子を電離圏に降下させオーロラ発光などを引き起こすエネルギー帯が明らかとなった。 また、LBC、UBC、ECH波によるピッチ角散乱の発生割合が高いエネルギー帯は、回帰直線の傾きと相関係数の解析結果とおよそ一致していることが確認された。さらに、先行研究でピッチ角散乱への寄与が小さいと報告されていたECH波についても、0.1 keV 付近でピッチ角散乱の発生率が高くなっていることが明らかとなった。 その他に、地上カメラと欧州非干渉散乱レーダーによる同時観測データを統計解析することによって、LBC波が引き起こすと考えられている脈動オーロラ発光中に、UBCやECH波による低エネルギー電子降下が引き起こす電離圏高高度(F領域)での電子密度増加現象が頻繁に発生していることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通りの研究計画を進められており、1本の査読付き論文が採録され、2本の論文を投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、準備中の2本の論文を査読付き国際学術雑誌に投稿する。また、オーロラトモグラフィ解析手法を用いて、多点オーロラ画像からオーロラ発光強度の3次元分布と降下電子の2次元分布の再構成に取り組む。
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[Journal Article] Pitch-angle scattering of inner magnetospheric electrons caused by ECH waves obtained with the Arase satellite2020
Author(s)
M. Fukizawa, T. Sakanoi, Y. Miyoshi, Y. Kazama, Y. Katoh, Y. Kasahara, S. Matsuda, A. Matsuoka, S. Kurita, M. Shoji, M. Teramoto, S. Imajo, I. Sinohara, S.-Y. Wang, S. W.-Y. Tam, T.-F. Chang, B.-J. Wang, C.-W. Jun
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Journal Title
Geophysical Research Letters
Volume: 47
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 全天カメラとEISCATレーダー観測による脈動オーロラ中の電子密度高度分布の統計解析とトモグラフィ解析による脈動オーロラ発光強度3次元分布の再構成2020
Author(s)
吹澤瑞貴, 坂野井健, 田中良昌, 小川泰信, Bjorn Gustavsson, Kirsti Kauristie, Carl-Fredrik Enell, Alexander Kozlovsky, Tero Raita, Urban Brandstrom, Tima Sergienko
Organizer
SGEPSS 2020