2020 Fiscal Year Annual Research Report
寄付者の行動特性を利用したファンドレイザーの情報戦略に関する経済実験
Project/Area Number |
20J12021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 大貴 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 利他行動 / ウォームグロー |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの流行も相まって、当初予定していた経済実験を実施することができなかった。そのため、研究課題の目的と関連する研究(研究課題名:社会的イメージと骨髄バンクの登録行動)を並行して進めた。以下はその研究に関する実施状況と併せて、本研究課題の実施状況を報告する。
【寄付者の行動特性を利用したファンドレイザーの情報戦略に関する経済実験】本研究は寄付市場における情報の非対称性(寄付者が譲渡した資産の一部を慈善団体がどのように使うのかが分からない)という問題に着目する。具体的に、慈善団体が「他者の利益にどの程度貢献できるか」という情報を積極的に公開しない要因はそのような情報によって動機づけられていない寄付者が存在しているからという仮説を、経済実験を用いて検証する。本研究課題の現状として、予測を導出するための理論モデルの構築を行い、主な予測の導出は完了させ、細かい修正点や課題を解決するためにモデルの修正と再計算を行っている。
【社会的イメージと骨髄バンクの登録行動】本研究は骨髄バンクドナーの行動を分析する。具体的に、ドナー登録によって獲得できる他者からの評判(社会的イメージ)に動機づけられた人がドナー候補者として登録するとき、そのような人は幹細胞提供をしたいという意思を持っていない可能性が高いという仮説を、アンケート調査を用いて検証する。本研究は利他行動が「他人の利益に貢献できる」という動機(ウォームグロー)にもとづいていないとき、寄付市場(骨髄バンクのドナープール)に負の影響を与えるということを検証しているという点で前述の課題と共通している。本研究課題の現状はアンケートデータの解析を行い、核となる分析結果を得た。さらに、若干の解析方法を修正し、それに併せて論文を改訂する作業を行っている。また、この研究結果は日本骨髄バンクの登録者促進のためのビデオ広報動画の作成に活かされた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス流行の影響により当初予定していた経済実験を実施することができなかったが、経済実験の仮説を構築するための理論モデルはある程度完成した。また、経済実験が実施できなかった代わりに、本研究課題の目的と関連する研究を並行して実施した。この研究は主な解析結果をすでに得ており、それを研究論文としてまとめている段階である。以上の理由から本研究課題はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の方策はは2点ある。 (1)理論モデルの完成である。現在、構築した理論モデルについて、細かい修正点や課題を解決するためにモデルの修正と再計算を行っている。これが完成次第、研究論文としてまとめるべきかどうかを検討する。 (2)経済実験の実施である。新型コロナウイルスの流行により、今後も実験室実験を実施することが困難な可能性がある。そのため、クラウドソーシングなどを活用したオンライン実験を含めて、経済実験をどのように実施するかを検討する。
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Research Products
(1 results)