2020 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism for the establishment of dominant party systems in Georgia
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20J21475
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古澤 卓也 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | ジョージア / 権威主義 / 与党 / シェワルナゼ / サアカシュヴィリ / 市民連合 / 統一国民運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジョージア政治史上二代目の与党であるジョージア市民連合に関する修士論文を加筆修正し、Japanese Slavic and East European Studies誌に投稿した。従来の権威主義与党研究は、高度に制度化された与党(中国共産党、メキシコの制度的革命党など)が体制の持続を助ける可能性を指摘してきたが、市民連合の様な脆弱な与党が形成される理由を十分に説明してこなかった。なぜ一部の独裁者は、コストやリスクを払ってでも脆弱な与党を形成するのか?研究の結果、ジョージア市民連合は組織面では非常に脆弱だったものの、ズラブ・ジュヴァニアやミヘイル・サアカシュヴィリといった体制内エリートに権力を与えることで、彼らを少なくとも一時的に体制にとどめる機能を果たしていたことを示した。この事例は、権威主義与党がこれまで指摘されてこなかった形で体制の存続を助けうることを指摘している。即ち、特定の体制内エリートを政党の指導者に任命し、彼らに候補者任命権や議会運営権など一部の権力を移譲することで、彼らの離反を防ぎ、体制の分裂を防ぐことができるのである。 当初の計画では、論文完成後に三代目の与党である統一国民運動の研究に進む予定だった。具体的には、ジョージアの中央選挙委員会にそれをもとに三代目の与党である統一国民運動の議員構成を研究することを予定していた。しかしジョージア政府による制度変更の結果、ジョージア市民権を持たない者が候補者情報を取り寄せることが不可能になってしまった。このため本年度は、インターネットで公開されている情報のみをもとに仮のデータセットを構築し、これをもとに学会発表を行った。詳しい内容は21年度研究実績の概要に記載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先述のとおり、ジョージア政府の制度変更により、ジョージア市民権を持たない者は中央選挙委員会に選挙資料を請求できなくなってしまった。このため、統一国民運動の候補者選抜戦略に関する研究を十分に進めることができなかった。 また、当初の予定では本年度の後半にジョージアで現地調査を行い、統一国民運動関係者へのインタビューを行う予定だったが、これも新型コロナウイルスの流行によって延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
22年度の夏からジョージアで現地調査を行う予定である。現地では予定していたインタビューのほかに、中央選挙委員会を直接訪問し、過去の選挙の候補者情報を入手する予定である。
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Research Products
(1 results)