2021 Fiscal Year Annual Research Report
都市高速道路網における渋滞パターン情報を活用した交通制御:渋滞をもって渋滞を制す
Project/Area Number |
20J21744
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒井 高良 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 都市高速道路 / 交通渋滞 / 交通需要管理 / リアルタイム制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,都市高速道路網における渋滞の時空間分布情報を活用したTransportation Demand Management (TDM)スキームの構築である.この目的を達成するために,本研究では3つの研究モジュールから構成されるアプローチを採用する: [1]都市高速道路網の長期間観測データの解析を通した渋滞時空間分布の特性解明, [2]渋滞ダイナミクスと道路利用者の選択行動との相互作用を記述した数理モデル:出発時刻選択問題の理論特性の解明,[3] [1]および[2]の成果を統合したリアルタイム渋滞時空間分布情報を活用するデータ融合型TDMスキームの開発と評価.本年度(2021年度)は,研究モジュール[2]を中心に遂行し,次年度の中心課題となる[3]の予備的分析も行った.
研究モジュール[2]では,コリドーネットワークを対象に,利用者の異質性(時間価値,希望到着時刻)を考慮した出発時刻選択問題に対するsystematicな解析手法を開発した.ここでは,均質利用者を仮定した従来研究で明らかにされていたDynamic System Optimal (DSO)状態とDynamic User Equilibrium (DUE)状態の理論的対応関係が,利用者の異質性を考慮した場合においても頑健に成立することを証明した.さらに,この事実に基づきDSO/DUE状態を解析的に導出し,両状態における厚生水準を比較する枠組みを整備した.その結果,現実的な状況設定の下では,動的混雑料金施策やランプ流入制御施策などを適切に実装することで,システムコストの最小化とパレート改善を同時に達成できることがわかった.また,研究モジュール[3]の予備的解析として,前述の理論的対応関係に基づき,リアルタイム制御に必要な利用者の異質性パラメータを,観測データから推計するモデルも構築した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的および研究実施方法に記した研究予定事項に関して,一定の成果が得らている.それらの成果は,学会での研究発表として公開しており,査読付学術誌にも受理されている.また,当初の計画にはなかった利用者の異質性を考慮した状況下において,異質性パラメータを観測データから推計するモデルの構築にも進展があった.以上より,研究課題全体としておおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究の進展状況はほぼ順調である.そのため,基本的には当初の計画に準じて行う予定である.ただし,理論モデル解析において,当初の想定以上の成果が得られていることを踏まえて,これらの成果の洗練をより重点的に行う予定である.
|
Research Products
(11 results)