2020 Fiscal Year Annual Research Report
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20J21771
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 聡一郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 特異積分 / 調和解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はL1積分平均型Hormander条件下での特異積分論について研究を行った. L1積分平均型条件とL2有界性の仮定から弱(1, 1)型評価とH1→L1有界性が得られる(したがって仮定のL2有界性と補間してLp有界性(1<∀p<2)が出る)ことは昨年度までの研究で分かっていたが, 今年度の新たな成果として, 畳み込み型の特異積分作用素について, 積分核がL1積分平均型条件及びcancellationとsingularityに関するある仮定から積分核のFourier変換の有界性, すなわち作用素のL2有界性が得られることが明らかになった. これは古典的なHormander条件の場合には古くから知られているBenedek-Calderon-Panzone (1962)の一般化である. この結果及び先述した昨年度の研究成果が論文として出版された. またこの論文に基づき学会発表を行った. ところが, 今年度末に実はL1積分平均型条件は実は古典的な条件と同値であることが明らかになった(この同値性はLebesgue測度以外の場合でも測度に対する適当な仮定のもと成立する. この仮定を外した場合に同値性が崩れるかどうかは未解明). この反省を踏まえ, L1積分平均型条件の定義をBMO空間の定義を真似て修正したBMO型Hormander条件を新たに導入した. この条件は古典的条件よりも真に弱いことが簡単な例によって示され, またL2有界性の仮定と合わせるとH1→L1有界性も得られる(したがってLp (1<∀p<2)でも有界となる)ことが分かった. 一方, 弱(1, 1)型評価やBenedik-Calderon-Panzone (1962)の主張がBMO型条件のもとでも成り立つかどうかは今のところ分かっていない. これについては今後の課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究していたL1積分平均型Hormander条件が実は古典的な条件と同値であることが明らかになったが, L1積分平均型条件の考察で用いていた手法を使うことで真に弱い新たなBMO型Hormander条件の発見に至ったため, 全体としてはおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
新たに導入したBMO型Hormander条件についての研究を進めたい.
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