2020 Fiscal Year Research-status Report
ポルノグラフィにおける性的モノ化の哲学的考察――現象学的倫理学からのアプローチ
Project/Area Number |
20K00040
|
Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20453219)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ポルノグラフィ / 性的モノ化 / 映画 / わいせつ / 現象学 / 倫理学 / 実存 / 芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、コロナウィルス感染症の拡大のため、国内外での図書館への資料調査に行くことができなかったため、当初に予定されていた研究(現代の英米哲学での議論に関わる研究)の発表を進めることができなかった。本年度にできなかったことは、次年度以降に取り組むべき研究課題となるだろう。しかし、本年度も、フッサールなどの現象学と現代哲学の接点のなかで、ボーヴォワールの実存主義の意義を明らかにして、このなかでサディズムなどの現象を考察する可能性を示唆することができた(論文「人生の意味を希求するフッサールの実存の記述――第42巻『現象学の限界問題』を読む――」『フッサール研究』所収、「倫理学における芸術作品の使用と想像力の問題:フッサール、マードック、その後継者たち」『倫理学年報』所収)。ボーヴォワールが実存の記述という観点からサドに言及していることの意義を明らかにしたのは、今後の研究にとって大きな意味を持つ成果となっている。さらには、現象学と現代の実在論の関係において、法的に禁じられているゆえにアクセスすることが困難である1950年代の日本のポルノ映画にかかわる発表もすることができた(「禁じられたポルノ映画と実存ーー現代の実在論と現象学との対話のために」)。この研究は、2021年度の後半に論文になる予定である。以上のように、実存主義や表現の自由にかかわる周辺領域をめぐる研究を展開することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染症拡大の影響によって、国内外での調査ができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス感染症拡大の影響がどのようなかたちになるのかわからないため、状況に応じて、できることをやることになる。オンラインで参加可能な学会での発表を念頭に置いて、研究成果を発信する。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症拡大のため、調査に行くことができなかった。
|
Research Products
(4 results)