2021 Fiscal Year Research-status Report
A Critical Study of Anti-natalist Philosophy in Terms of Birth-Affirmation
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20K00042
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森岡 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80192780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 祐美子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (30844170)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反出生主義 / 誕生肯定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、反出生主義と誕生肯定に関する2本の論文を刊行し、本研究を一歩進めることができた。まず、昨年度に発表した反出生主義に関する日本語論文をもとに、最新の文献を渉猟して義論を更新した英語論文「What Is Antinatalism?: Definition, History, and Categories」を刊行した。本論文は反出生主義の歴史、分類、反出生主義の論理の陥穽について幅広く考察した決定版である。刊行後、すでに他の論文に引用されるなどして注目されている。次いで、昨年度に刊行した著書『生まれないほうが良かったのか?』の第7章で行なった義論を洗練発展させた英語論文「What Is Birth Affirmation?: The Meaning of Saying “Yes” to Having Been Born」を発表した。ここでは、誕生肯定の概念を「反-反出生主義解釈」と「可能世界解釈」によって意味づけ、そこから見えてくるいくつかの問題点について論じた。また、国際学会の発表を2件行なった。バーミンガム大学のFirst Global Philosophy of Religin Project Conferenceで「Is Birth Negation Held by Atheistic Antinatalists a Kind of Reigious Belief?」と題する発表を行ない、反出生主義と宗教の関係を論じた。またプレトリア大学の4th International Conference on Philosophy and Meaning in Lifeで「A Traumatic Rupture in Life and the Affirmation of Having Been Born」と題する発表を行ない、誕生肯定について論じた。ここにおいては、「サバイバルの肯定」「トラウマティックな体験の肯定」「悲劇的な出来事の肯定」の三種類の肯定を考察し、それらが誕生肯定とどのように関連するかを論じた。研究分担者の横田祐美子はエクリチュールフェミニンの生命哲学に関する研究発表を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
反出生主義の哲学を誕生肯定の視点から考察するという研究計画の中核的な作業を行ない、それを2本の英語論文と2本の国際学会発表に結実させることができた。当初の研究計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に国際学会で発表した2本のテーマをさらに掘り下げ、英語論文として刊行することを目指したい。また、本研究から派生したテーマがいくつか出てきているのでそれについて考察を行ないたい。ひとつは「ペルソナ」の概念である。これについては以前より継続的に研究してきたが、本年度に英語論文「Animated Persona: The Ontological Status of a Deceased Person Who Continues to Appear in This World」を刊行することができた。ここで新たな概念「animated persona」を提唱した。今年度に、これを現象学の視点からさらに解明する作業を行ないたい。そしてできれば誕生肯定の概念との関連性を掘り下げてみたいと考えている。また本年度に日本語論文「生物進化の哲学と無痛文明」を刊行した。これも私が継続的に研究してきたテーマである。ここで扱った生命の哲学を誕生肯定の哲学に接続する試みを行ないたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度に南アフリカのプレトリア大学で研究発表を行なう予定であったが、コロナの影響で国際学会がオンライン開催となったため海外旅費を使用しなかった。またコロナの影響で国内旅費も使用しなかった。次年度に繰り越し、現在投稿中の複数の英語論文のオープンアクセス費用等として活用することを予定している。
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Research Products
(10 results)