2021 Fiscal Year Research-status Report
インド・ヴリンダーヴァンのチャイタニヤ派における理論と実践の相互補完的研究
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20K00061
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
橋本 泰元 東洋大学, 文学部, 教授 (40256764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 一郎 東洋大学, 文学部, 教授 (20261258)
澤田 彰宏 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (00645939)
三澤 祐嗣 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (00755259)
相川 愛美 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (60813582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バクティ / ヴリンダーヴァン / チャイタニヤ |
Outline of Annual Research Achievements |
21年度は、全体として、オンラインによる研究会を中心に進め、共通の基礎研究として、20年度から引き続き、ラッルー・ラール作『プレームサーガル』の翻訳研究を行った。『バーガヴァタ・プラーナ』10巻「クリシュナ神話」をヒンディー語に翻案したこの書は、ストーリーは細部まで原本に忠実であるが、時折、原本と異なり過度なクリシュナ賛美や登場人物の神格化が見られ、また使用する武器にマスケット銃が登場するなどのアレンジも加えられていることが判明してきた。また、ヴィシュヌ派の宇宙生成論にも説かれ、クリシュナとその兄、息子、孫の4人の神格から形成されるヴューハが、叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する主人公ラーマとその3人の弟と同一視している説も見出された。 研究分担において、理論分野では、チャイタニヤの様々な伝記を調査をして、クリシュナ神に対する至高の愛情が最高の宗教的目標であると説く彼の思想的土壌が師の一人であるマーダヴェーンドラ・プリーの作品の中に見出すことができ、その作品の詩節と南インドにおけるバクティ運動の担い手であるアールヴァールたちの作品のなかに同じような思想や表現があることを比較研究によって明らかにし、チャイタニヤのバクティ思想の背景の一端を明示できた。一方、実践分野では、コロナ禍以前の2019年に2回実施した現地調査と現在Web上で得られる情報に基づき分析を行った。バラモンによる講話と音楽を媒体とした宗教的な娯楽要素も含んだ催しであるカターが、一般信徒である聴衆にとって神話や教義にふれることができる機会となっているだけでなく、同時にカターの語り手にとって各地に住む弟子との交流、新たな弟子の獲得、そして収入を得る重要な機会ともなっていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
21年度は、研究対象地であるインド・ヴリンダーヴァンで調査および当該地の聖職者を交えて研究集会を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染が収束せず、実施することができなかった。20年度と同様に現地での調査が行えず、情報や資料の収集も不足しており、予定に支障をきたしている。一方、20年度に引き続き、研究会や報告会は、オンラインに切り替え、予定通りに行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
22年度は、21年度に行えなかった合同実地調査を実施し、併せて調査地で神学者との意見交換・研究会合を開催する予定である。新型コロナウィルス感染拡大が収束してはいないので、状況を確認しながら、十分に注意して進めていく。また、研究会・報告会はオンラインで引き続き実施していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で研究対象地での調査を延期し、22年度に行う。
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Research Products
(2 results)