2020 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における仏教寺院の実態研究―多宗派のブロック調査
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20K00081
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Research Institution | Suzuka University |
Principal Investigator |
相澤 秀生 鈴鹿大学, こども教育学部, 研究員 (90868366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川又 俊則 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (40425377)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仏教寺院 / 教団比較 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのところ、宗教社会学を代表とする宗教研究の分野において、仏教寺院の教団横断的研究は前例がない。仏教寺院の実態研究がその主要な関心を占めるにいたらず、調査の技量が養われてこなかったことが大きい。 周知の通り、仏教寺院は葬儀や法事、年中行事など、人びとの人生や生活の一部として機能してきた。乳幼児養育の場として保育所や幼稚園を開設したり、高齢者の見守りや憩いの場となっているところも少なくない。地域社会の寺院がなくなれば、誰が死者を弔い、墓や遺骨を守っていくのか。宗教的情操教育や人びとの結びつきを深める機能を他に代替しうるのか。本調査はこれらの課題に対応すべく、数量的(質問紙)調査と質的(フィールドワーク)調査を併用し、寺院の存続と人びとの暮らしがいかに相互影響しているのかを明らかにすることを目的とする。 研究初年度である本年度は、次年度に実施する質問紙調査の準備期間にあたる。本年度は調査項目の策定を行なった。基礎資料としたのは、教団単位に実施されてきた「宗勢調査」である。宗勢調査は教団の全寺院を対象とする場合が多く、教団の関心事となる調査項目が設けられる。そこには共通した調査項目を多く見出すことができ経年変化を追うことが可能だが、設問文や選択肢の内容が異なる。また宗規の違い、宗務行政における寺院の地域区分の相違など、教団間の厳密な比較をするうえでの妨げとなってきた。 そこで本調査では統一した規格の質問紙の策定を目指し検討を重ねた。その結果、本年度内に調査票の策定を概ね完了した。これにより、多宗派間における寺院の実態比較が可能となった。これは仏教寺院の実態研究、とりわけ数量的研究の面において、その基礎となる調査フォーマットを新たに開発したといってよい。 なお、本年度に予定していた質的調査については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から自粛し、次年度以降に持ち越すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予算執行が遅れ、8月下旬となったため、それにあわせて計画にも遅れが生じた。また当初予定した本研究課題の協力者にも予定変更があり、次年度実施の質問紙調査における調査票策定の議論開始は10月となった。 本科研の協力者として参画した磯部美紀氏(大谷大学大学院)、大谷栄一氏(佛教大学)、梶龍輔氏(駒澤大学)、徳田剛氏(大谷大学)、中條曉仁氏(静岡大学)、平子泰弘氏(曹洞宗総合研究センター)とともに、週1回のオンライン会議、さらにはメール審議を重ねて遅れを取り戻し、本年度中の目標である調査票完成にほぼ到達できた。 ただし本年度に予定していた質的調査については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から自粛せざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は質問紙調査を実施し、調査データの集計を行なう。その成果に基づき、再来年度に本調査の報告書を刊行する。報告書にはこの数量的調査以外にも、本調査や研究メンバー自身による質的調査にくわえ、本調査以外の先行研究も盛り込む。 そこで、次年度は報告書刊行に先立ち、主として先行研究に基づく個別の研究発表を行ない、報告書刊行の足掛かりとしたい。 これに本科研メンバーによる共同の、あるいはメンバー個人による質的調査も加味したいが、新型コロナウイルス感染症(とりわけ変異種の拡大)により、先を見通すことが難しい現況にある。そのため、次年度の研究発表は先行研究の整理に軸足をおく可能性が大である。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点により、予定していた対面会議をすべてオンライン会議に切り替えたため、旅費に剰余が発生した。これは来年度の質問紙調査の経費(調査票の印刷・発送・封入・データ入力など:経費適用は「その他」)に繰り越し、調査の充実を図る。
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Research Products
(4 results)