2021 Fiscal Year Research-status Report
現代日本ポピュラー音楽のナショナリズム動向―「愛国ソング」の調査と分析
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20K00152
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
増田 聡 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (50325304)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナショナリズムと音楽 / 愛国主義 / 排外主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の日本ポピュラー音楽において顕著になりつつある「ナショナリズム的傾向」の量的調査ならびに質的分析を目的とした本研究課題は、下記の三つの研究軸 に基づく遂行を計画している。 (a)文化ナショナリズムに関する理論的研究 (b)「愛国ソング」の量的データの収集と整備 (c)音楽実践におけるナショナリズム意識と実践の調査 令和3年度は研究二年度目にあたり、必要となる機材整備や資料収集につとめるとともに、前年度に遂行した(a)(b)の基礎的作業を踏まえて、その発展と調査対象のより一層の分析検討を行なった。(a)については近現代日本思想史・大衆文化思想史の諸研究を徴しつつ、戦後日本現代文化におけるナショナリズムの大衆文化における表出について、理論的調査および経験的事象の位置付けに関する作業を行った。(b)については前年度に引き続き、戦後日本における歌謡曲史・洋楽ポピュラー音楽受容史との関係に留意しつつ、愛国ソングデータベース化の拡充、既存の歌詞データベースほかの諸資料との関係の整理を行い、ナショナリズム表象の分析検討を進めた。これについては引き続き継続して次年度以降も行われる。 さらに、コロナ禍により大きな影響を受けた日本の音楽文化環境の諸相について、おもに二次資料に基づいてナショナリズ ム意識に関連する可能性のある事象の予備的調査を継続した。依然としてコロナウイルス感染症のために実地調査が困難となっている(c)については、研究最終年度の今年度における調査方針の変更も視野に入れつつ実施方法について再検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の継続により、関西圏を離れた実地調査(デモにおける音楽実践の調査やインタビュー調査)が不可能なままとなっている。 (a)の理論的調査と(b)のデータ整備に注力し、三つの研究軸が有機的に展開する段階にまでは至っていない。今年度は実情に則した調査方針の変更も見据えて研究計画の再調整を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の収束状況が芳しくないため、引き続き(a)(b)の作業を進行させつつ、そこで明らかになった諸課題のうち、実地調査に関わりない範囲での分析・調査を進展させる。その上で最終的な研究目的の達成のため、研究計画全体の再調整を行いつつ(c)の可能な範囲での実施をおこないたい。
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Causes of Carryover |
実地調査が行えなかったために執行額の全額を物品(機材・資料)に使用したが、次年度の調査実施などを見据えて60000円ほどを次年度に繰り越した。可能であれば調査旅費に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)