2020 Fiscal Year Research-status Report
Basic Study on Nazi German Institutional Art and Southern German Art
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20K00202
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
安松 みゆき 別府大学, 文学部, 教授 (40331095)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大ドイツ美術展 / ドイツ第三帝国の画家 / 女性の裸体像 / 南ドイツ画壇 / 美術アカデミー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず初年度においては「大ドイツ美術展」における南ドイツ画壇の作品を俯瞰し、その作風を分析すること、また当時の雑誌をとおしてその評価を確認することを目指していた。 しかしコロナ禍にあり、国内の図書館はもとより、現地調査ができない状態に置かれた。とはいえ少しでも研究をすすめるために、インターネット上に公開されている電子データを用いて分析することにした。具体的には「大ドイツ美術展」に展示された絵画作品のうち裸体の女性を描いた画家に注目して、かれらがどのような経歴をもっていたのかを、日本で確認できる事典や一部新たに購入した文献を用いて考察した。その結果、多くの画家が南ドイツを制作活動の場としていたこと、ミュンヒェンの造形美術アカデミーで学んだいたことをデータのうえで確認することができた。さらにそれら画家のうち、ミュンヒェン造形芸術アカデミーの教授に就任した者や、また当時の新しい芸術動向、たとえば、世紀末美術などに積極的に取り組んでいた場合が見られた。なによりも意外だったのは、ヒトラーが作品を購入し、ミュンヒェンの総統官邸に飾っていた・ツィーグラーの作品である。ツィーグラーはドイツ第三帝国時を代表する画家であったが、かれの描法が、ヒトラーが否定し、またツィーグラー自身も退廃美術展において否定した「新即物主義Neue Sachlichkeit」に共通していたとみなされていた。大ドイツ美術展に出品された作品群は一概に反モデルネとはいいきれないあいまいな部分を包括していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ドイツやオーストリアでの資料調査を基盤としたテーマを考えていたが、コロナ禍でいけなくなってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年も現地調査ができるのかは判然としない。したがって今年も昨年同様に電子データを用いてできる調査を実施する。渡航が可能になれば、速やかにドイツ・ミュンヒェンでの調査を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあり、ドイツ、オーストリアでの現地調査に行けないため。ワクチンなどの関係で移動が可能になれば、現地調査を実施する。
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Research Products
(1 results)