2021 Fiscal Year Research-status Report
Basic Study on Nazi German Institutional Art and Southern German Art
Project/Area Number |
20K00202
|
Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
安松 みゆき 別府大学, 文学部, 教授 (40331095)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 大ドイツ美術展覧会 / ドイツ第三帝国の風景画 / ドイツ第三帝国の画家 / 南ドイツの画壇 / 山岳アート / アルプス の風景とナチス |
Outline of Annual Research Achievements |
予定していた研究がコロナ禍でできず2年が過ぎた。それでもできることをすべきと考えて昨年度にはインターネット上に公開されている電子データを用いて分析した。今年度も前回同様に、「大ドイツ美術展」に展示された作品に注目して分析することで、南ドイツの影響があったことを裏付ける試みをした。 具体的にドイツ第三帝国の体制派美術の特徴について風景画に着目した。データ分析によると風景画のテーマとなったのは、アルプス 、山、砂丘、平原、川、広野、丘陵、岸辺、海景、中山性山地、湿地、湖、森林などだったが、山岳が多く、特にアルプス が際立っていた。またヒトラーが購入した風景画を分類すると、ここでも山岳のテーマが多く、特にアルプスの作品が多く認められ、ドイツの郷土とはいえ南ドイツに代表される結果を得た。ではそれはなぜなのか。もちろんヒトラーをはじめ幹部が南ドイツ出身だったことは見逃せない事実である。しかし絵画作品に目を向け、「山岳アート」の歴史から振り返ってみることが不可欠である。その検討からすれば、意外にも伝統を高く評価したナチス絵画と、ナチスの否定した退廃美術ともに、山岳を新たなテーマに据えていた共通性が指摘できた。その一方で、ナチスは、政治的方針を反映し、「山岳アート」の特徴である「崇高」を、「英雄」を生み出す場所の意味から選択された可能性を指摘しえた。 この考察結果については別府大学紀要に論文としてまとめて公開する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ドイツやオーストリアでの資料調査を基盤としたテーマを考えており、コロナによって移動ができなくなったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地調査ができないと本来の研究がすすめられない。本来の研究ができるか否かはコロナの状況如何による。コロナの状況が少しづつ改善しているように思われる。とはいえまだ現地にいけない状況が現実にあるが、それによって研究をとめるべきではないと考える。たとえレベルが下がったとしてもできる方法をつねに視野にいれてすべきことをして、まもなく現地での調査が再開できたときに、これまでの研究成果がそれを補強する裏付けになると考えている。
|
Causes of Carryover |
予定していた現地ドイツでの資料および作品調査がコロナ禍において実施できないため。
|
Research Products
(1 results)