2020 Fiscal Year Research-status Report
藕糸織の基礎的研究-非破壊調査による藕糸織の再検討を中心に-
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20K00206
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Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
富岡 優子 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (20508957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 菜月 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 主任研究員 (10545700)
大橋 有佳 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10804388)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 藕糸織 / 中将姫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、思ったように作品調査が行えなかったが、研究分担者や研究協力者とzoomを用いた打合せを三度行い、可能な範囲での調査を行い、藕糸の試作などを中心に研究を行った。 1)藕糸織の非破壊調査および藕糸織の再調査について、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から関東方面の調査(浅草寺および大賀藕糸館)は実施を見合わせた。その一方で予定にはなかった元興寺所蔵藕糸袈裟の調査を行い、藕糸ではなく絹糸であることが確認出来た。また研究分担者の大橋由佳が香川県内の寺院に藕糸織とみられる仏画が存在することを確認、1月に調査を行う予定であったが、新型コロナ感染症拡大による緊急事態宣言が発出され実施できなかった。 2)藕糸および藕糸と絹糸の双糸の試作については、豊前市および大和恵子(豊前小倉織研究会)の研究協力を得て、豊前市所管の池よりハスの葉柄10㎏を採取。藕糸を1gを引き出すことが出来た。藕糸は新鮮な若いハスの葉柄から繊維を取り出しやすい事、葉柄から水分がなくなると糸を得ることが難しくなることなどが確認出来た。また得た藕糸を用いて、同じく大和の協力により、藕糸と絹糸の双糸の制作を行った。福岡県指定文化財の藕糸織仏画(福聚寺所蔵)と糸の太さなどを比較し、復元制作について研究を進めた。 3)福岡市美術館所蔵の中将姫絵詞の調査を行った。江戸時代(19世紀前後)の制作とみられ長大な絵巻は江戸時代における中将姫伝説の広がりを示すものとであった。描かれた機は空引き機に似ており、当時使用されていた機を示すものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた関東方面への調査は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から出来なかった。しかし、調査の段取りや確約などは進んだと言える。 そのような状況下、藕糸と伝来した奈良・元興寺所蔵の袈裟の調査を行い、絹であることを確認。香川県内の寺院に藕糸作例の可能性がある作例を発見するなど、今後の調査の可能性が広がった。 一方で、採取したハスより藕糸の作成を行い、藕糸と絹糸を撚った糸の作成実験を行った。完成した糸で、藕糸織仏画の復元方法について、研究を行い、復元への糸口が見えてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、調査はしばらく難しいと考えられ、また分析担当の研究分担者の大橋が2021年度より産休に入ったことから、科学分析が必須の調査については大橋の復帰後に順延する。 一方で、藕糸織仏画の復元については糸口が見えたため、必要量の藕糸の作成及び制作実験を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大のため、予定していた調査が行えなかったことにより、旅費の使用出来なかった。予定していた調査を次年度以降に行うために使用したい。
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Research Products
(1 results)