2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00291
|
Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
二本松 康宏 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (90515925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 敦 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (30382451)
二本松 泰子 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 教授 (30449532)
中澤 克昭 上智大学, 文学部, 教授 (70332020)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 諏訪信仰 / 大祝 / 鹿食 / 供犠 / 洩矢伝承 / 守矢家文書 / 茅とススキ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が目指すのは、中世末期以降の大祝家や神職家らの内訌を経て再々創出された、さらに新たなる諏訪信仰の様相と実相、そしてその伝播の解明である。そのために、諏訪市博物館等に所管される「大祝家文書」や「矢島家文書」の調査(中澤克昭、二本松泰子)、および南九州各地に伝来した島津氏ゆかりの「諏訪縁起(絵巻)」の調査(二本松康宏、永松敦)に取り組む予定であった。しかし、採択された2020年度から続く新型コロナウイルス禍の影響により計画していた調査ができないまま採択期間である3年間を経てしまった。そこで、2023年度には新型コロナウイルス禍による行動制限が撤廃されることを見越して研究計画を延長し、あらためて調査を再開することとした。 2023年度の調査の再開に備えて、2022度はオンラインでの研究会による準備的研鑽に努めた。その概要は以下のとおりである。 ①2022年7月31日(日)宮嶋隆輔氏(静岡文化芸術大学客員研究員)「諏訪上社の御左口神―古代中世の守宮神信仰から読み解く―」/山本ひろ子氏(和光大学名誉教授)「宮嶋報告をめぐる二、三の問題」 ②2022年9月25日(日)中澤克昭「室町・戦国期の鹿食と諏訪信仰」/原田信男(国士舘大学名誉教授)「諏訪における供犠をめぐる歴史的枠組みについて」 ③2022年12月3日(土)間枝遼太郎(日本学術振興会特別研究員)「中世洩矢伝承の基礎的整理と新出資料」/二本松泰子「諏訪信仰と鷹書―守矢家文書の言説を手掛かりにして―」 ④2023年3月26日(日)永松敦「諏訪信仰と茅―なぜ、諏訪ではススキが多用されるのか?!―」/2023年度への延長に向けての計画検討
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前々年度から続く新型コロナウイルス禍の影響により計画していた調査が実施できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス禍による行動制限が撤廃されたことを受けて、当初より計画していた南九州での調査を再開する。ただし、調査活動は当初計画では3年間の予定だったが、それを2023年度の延長中に集約しなければならないため、より効果的な調査を再検討する。
具体的には、南九州における島津氏の影響県内での諏訪信仰の伝播と位置付けを精査する。また、南九州に点在する「諏訪縁起」と称される甲賀三郎絵巻に注目して、島津氏が擁した諏訪信仰の再構築の経緯を追う。
一方、諏訪地域においては、守矢家文書が神長官守矢史料館への寄託から所蔵に移行したため、調査活動が従来よりも容易になった。このことを受けて現地での協力体制を整え直し、古文献的調査も再開したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本課題における最も重要なテーマの一つが南九州各地に伝来した島津氏に所縁の諏訪信仰の調査である。採択期間(2020年度~2022年度)を通じて、島津氏に内包される諏訪信仰あるいは在地における「諏訪縁起」と呼ばれる絵巻物群の調査にあたる予定だった。 しかし採択の1年目から始まった新型コロナウイルス禍の影響により、予定していた調査がほとんど遂行できなかった。そのため「旅費」を中心とする研究計画において、大幅な遅れと予定変更(足止め)が生じるに至った。 そこで、2023年度には新型コロナウイルス禍が終息することを前提として、あらかじめ課題の延期を見越したうえで、2023年度にじゅうぶんな調査活動ができるように、予算を保全しておくことにした。 2023年度はいよいよ計画を遂行できる環境となったので、あと1年間で何をどこまでできるか検討したうえで、あらためて調査等に取り組みたい。
|
Research Products
(11 results)