2021 Fiscal Year Research-status Report
肉筆および活字資料の包括データベースに基づく近代日本の「日記文化」の発展的研究
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20K00300
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 祐介 明治学院大学, 教養教育センター, 講師 (40723135)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日記 / 自己表象 / 自己語り / 書記文化 / 読書文化 / リテラシー / 戦争経験の継承 / アーカイブズ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度に続き、新型コロナウイルスの感染爆発により、大幅な研究計画の変更を余儀なくされた。しかし昨年度に試行したオンラインでの研究活動の実績に基づき、当初計画の道筋とは異なるものの、研究活動を遂行することができた。 本研究活動の中心となる研究会「近代日本の日記文化と自己表象」はオンライン開催(Zoom利用)とし、第28回(2021年5月15日、特集:昭和十年代の植民地教育における日記指導)、第29回(2021年7月24日)、第30回(2021年9月15日、特集:日記は歴史のトビラをどうひらくのか)、第31回(2021年12月11日)の計4回を開催することができた。第31回では通常の研究報告に加え、特別企画として「「届けてくれてありがとう」ーー佐藤富五郎日記を託された戦友をめぐる歴史実践」を設けた。研究会活動を通じて新たに面識を得た研究者たちと、次年度以降の協働について協議することができた。 「日記文化」研究プロジェクトの第二弾となる論文集『無数のひとりが紡ぐ歴史ーー日記文化から近現代日本を照射する』(文学通信刊)の制作を進め、年度末の前に校了を迎えることができた。これは2019年9月28日、29日に開催した学際シンポジウム「近代日本を生きた『人々』の日記に向き合い、未来へ継承する」の成果に基づき、今年度の研究成果を組み込んだ上で、仕上げたものである。今年度の最大の成果と言えよう。この成果と並行し、直木賞作家である榛葉英治の日記に基づく共同研究も進み、論考およびデータ編を制作することができた。 以上の通り研究は大きく進展したが、当初計画に含めた「データベース 近代の日記」の充実化と、東アジアを中心とする国際的連携は、新型コロナの感染状況が好転しないことから、本格的な着手を先送りにせざるを得なかった。次年度以降の課題として取り組みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも触れたとおり、新型コロナウイルスの感染拡大により、大幅な研究計画の変更を余儀なくされた。 しかし昨年度に試行したオンラインでの研究活動の実績に基づき、当初計画の道筋とは異なるものの、研究活動を遂行することができた。 研究活動の進捗が概ね順調といえるのは、本研究活動の中心となる研究会「近代日本の日記文化と自己表象」を定期開催できたことが大きい。オンライン開催(Zoom利用)とし、第28回(2021年5月15日、特集:昭和十年代の植民地教育における日記指導)、第29回(2021年7月24日)、第30回(2021年9月15日、特集:日記は歴史のトビラをどうひらくのか)、第31回(2021年12月11日)の計4回を開催することができた。第31回では通常の研究報告に加え、特別企画として「「届けてくれてありがとう」ーー佐藤富五郎日記を託された戦友をめぐる歴史実践」を設けた。研究会活動を通じて新たに面識を得た研究者たちと、次年度以降の協働について協議することができた。 加えて、研究成果を広く公開する論文集の制作が進んだことも大きい。「日記文化」研究プロジェクトの第二弾となる論文集『無数のひとりが紡ぐ歴史ーー日記文化から近現代日本を照射する』(文学通信刊)の制作を進め、年度末の前に校了を迎えることができた。この成果と並行し、直木賞作家である榛葉英治の日記に基づく共同研究も進み、論考およびデータ編を制作することができた。 一方、当初計画通りに進展しなかったのは、「データベース 近代の日記」の充実化と、東アジアを中心とする国際的連携である。新型コロナの感染状況が好転しないことから本格的な着手を先送りにせざるを得なかったが、次年度以降の課題として取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究会活動は、オンライン開催を基盤としながら、対面実施とのハイブリッド開催の機会を継続的に設け、感染状況にもよるが、対面での参加者も増えるような体制を整えたい。 田中祐介編『無数のひとりが紡ぐ歴史ーー日記文化から近現代日本を照射する』(文学通信、2022年)の刊行と同時期に、福田千鶴・藤實久美子編『近世日記の世界』(ミネルヴァ書房、2022年)が刊行された。近世日記の研究の大きな進展は、近代日本の日記文化を検討する本研究にとっても意義深い。今後は近世以前の日記文化との比較により、近代を照射するような視点を意識しながら研究活動を発展させたい。また、今年度の成果に基づき、新たな出版計画にも着手している。次年度中にその方面での研究活動も進め、成果を公にできるよう努めたい。 今年度果たせなかった国際的連携は、本研究の活動の柱の一つとして次年度も検討する。その際、本研究の代表者(田中祐介)が代表を務める国立歴史民俗博物館の基盤研究「近代東アジアにおけるエゴ・ドキュメントの学際的・国際的研究」(2022年度-2024年度)との共同的活動により、国際的連携を推進させたい。 「データベース 近代日本の日記」の拡充にも次年度は着手したい。まずは出版された日記資料のうち、明治から昭和戦前期までに綴られた日記の データ化を進め、その上で、明治以降に綴られた手書きの日記群からなる「近代日本の日記帳」目録のデータベースへの統合の準備を整えたい。 本来は次年度は最終年度であるが、新型コロナ禍による制約が続いたことを踏まえ、1年延長して十分な成果を挙げることも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍のため、国内外の出張旅費が使用できず、また対面での調査協力も仰ぐことができず、謝金、アルバイト料の支払いが当初予定より大幅に縮小したため。
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Research Products
(7 results)