2022 Fiscal Year Research-status Report
松山市立子規記念博物館星加文庫の総合的調査ー近世伊予俳諧の諸相を見直すー
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20K00307
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Research Institution | Matsuyama Shinonome College |
Principal Investigator |
松井 忍 松山東雲女子大学, 人文科学部, 名誉教授 (70352094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 俊彦 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 特任教授 (20319916)
小林 孔 大阪城南女子短期大学, その他部局等, 講師(移行) (60280038)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域の文化資源 / 日常的な俳諧の楽しみ / 女性に広がる和歌の嗜み |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、星加文庫調査を4回実施し、最初の3回の調査で当初調査対象とした俳諧資料をほぼ確認し、目録を作成し終えた。その後、調査対象から外していた箱の資料を確認したところ、星加ノートや論文などをまとめた多くの箱の中にも俳諧関係の原資料や写し類が大量に混在していることがわかり、全ての箱を点検する必要があることが判明した。そのため、調査回数を1回増やしたが、残りは令和5年度の調査に譲ることとした。 あらたに調査対象とした箱の資料については、特に公表すべきものを選別して翻字することとしたが、令和4年度中に中間報告としてまとめる予定であった資料の翻刻集については、1年先延ばして完成させることとした。伊予俳諧の原資料として、より内容の濃いものとする予定である。 別に、伊予史談会に幕末期の小松の俳人長谷部菊圃の書簡が多く所蔵されていることがわかり、それらについても調査し、半数程度の翻字を終え星加資料の俳人との関連を確認しつつある。 天理図書館綿屋文庫の調査は1回実施したのみであるが、明和・安永中期からさかのぼって宝暦期の調査を進めることとした。それによって木村牧雨をはじめとする木村家の俳諧活動を明らかにしたいと考えている。 これまでの調査により、東予地域に俳諧と共に和歌の嗜みが広がっており、特に女性たちが盛んに和歌や俳諧を楽しんでいることがわかった。また、松山や讃岐の俳人との交流や影響などについても具体的に確認できつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最初の2年間、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、子規記念博物館での調査回数が予定通り取れなかった影響が残っていることと、調査すべき資料があらたに見つかり調査範囲を広げたことにより、調査全体の進捗状況はやや遅れている。前年度末の十分な協議の結果、令和4年度は調査のスピードアップがはかれたことや翻字作業が順調に進んでいることから、今後の研究の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は前年度と同程度の星加文庫調査の回数を確保するとともに、幕末期伊予俳人長谷部映門関係の資料を多く所蔵する愛媛県西条市温芳図書館の資料調査も並行して実施することで、中央俳壇とのつながりを把握することとする。 また、「東予地域と讃岐俳壇とのつながり」「享保期の伊予俳壇」「西条・小松地域の和歌の広がり」「西条木村家と久門家の俳諧」の4つのテーマを中心に検討を進める方針を立て、調査結果の分析に当たることとした。今後の道筋を明確化できたことで、研究の推進が見込まれる。
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Causes of Carryover |
最初の2年間、新型コロナウィルス感染拡大により、子規記念博物館での実物資料調査を予定通り実施できなかったため、旅費の支出が予算額を大幅に下回った影響が大きい。また、資料の翻字を小冊子としてまとめる予定であったが、新たな資料が見つかったため先送りした。今年度は、翻刻集を完成させる見込みであることと、温芳図書館での調査を加えることにより使用額が増える見込みである。
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