2021 Fiscal Year Research-status Report
翻訳絵本にみられる異文化受容の歴史的研究(終戦から1954年12月まで)
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20K00308
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
生駒 幸子 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10584849)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 絵本 / 翻訳絵本 / 検閲 / 岩波の子どもの本 / 翻訳方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、太平洋戦争終戦から1954年12月までに出版された翻訳絵本にみられる異文化受容の様相を調査することにより、戦後絵本史の出発点となった翻訳絵本の実態を解明し、翻訳絵本にみられる異文化受容を歴史的に検証することである。 研究方法は文献調査法とし、戦後占領期のGHQ/SCAPによる検閲、翻訳権による出版など児童書出版を取り巻く状況等をふまえ1945年9月から1954年12月までを3期に分割し、戦後間もない時期に翻訳絵本において異文化がどのように受容されたのか実態と変遷を歴史的に考察する。具体的には翻訳絵本について現存する原書と訳書とを比較し、絵と言葉がどのように翻訳されているか翻訳方法を調査する。 2020年度は第1期(1945年9月~1949年10月)の翻訳絵本の調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、事前準備で完了している翻訳絵本リストアップを再度点検し、研究対象としている期間の翻訳絵本を研究資料として可能な限り入手することで、第1期における翻訳絵本の原書と訳書の比較検討、翻訳方法の調査を実施し、翻訳絵本における異文化受容の検討に取り組んだ。 2021年度は第2期(1949年11月~1953年11月(検閲終了後)の翻訳絵本の調査を予定していたが新型コロナウイルス感染拡大により、著作権法に鑑み原書閲覧が可能な施設に赴いて調査が必要であるにもかかわらず国内はもとより国外での調査に赴くことができず研究が計画通り進んでいない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では研究対象である1945年9月~1954年12月を3期(第1期:1945年9月~1949年10月(占領下検閲期の翻訳絵本)、第2期:1949年11月~1953年11月(検閲終了後)、第3期:1953年12月~1954年12月(〈岩波の子どもの本〉4回配本の時期))に分割し、各期に出版された翻訳絵本の原書と翻訳絵本を比較することにより絵本翻訳の方法を調査し、翻訳絵本における異文化受容の検討をする。 2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で国内はもとより国外での調査に赴くことが不可能であったため、第1期:1945年9月~1949年10月(占領下検閲期)の事前準備で完了している翻訳絵本リストアップを再度点検し、研究対象としている期間の翻訳絵本を研究資料として可能な限り入手して調査を行った。 2021年度は2020年度に続き新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、国立国会図書館、メリーランド大学プランゲ文庫、アメリカ議会図書館他での原書調査ができなかったため、研究協力者とのオンラインミーティングによる絵本図版の検討などを実施したが、原書と翻訳絵本の比較検討ができない、研究協力者からの対面での研究協力が得られない等の困難が伴い、研究計画通りの研究が進められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降の研究計画としては、第3期:1953年12月~1954年12月(〈岩波の子どもの本〉4回配本の時期)を中心として、2020年度、2021年度に調査を進めることのできなかった第1期(1945年9月~1949年10月)、第2期:1949年11月~1953年11月(検閲終了後)も含めて、翻訳絵本の原書と翻訳絵本を比較することにより絵本翻訳の方法を調査し、翻訳絵本における異文化受容の検討をする。具体的な研究内容は、①翻訳絵本リストアップ、②原書と訳書の比較検討など翻訳方法の調査、③各期の翻訳絵本における異文化受容の検討である。 新型コロナウイルス感染状況にもよるが、可能な限り資料所蔵館や調査施設(国立国会図書館、岩波書店資料室、白百合女子大学児童文化研究センター光吉文庫、大阪府立中央図書館国際児童文学館、メリーランド大学プランゲ文庫、アメリカ議会図書館)に赴き、文献調査に努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2021年度の調査が予定通り進められていないため、次年度使用額が生じた。 2022年度においては2020年度、2021年度に実施することが困難であった翻訳絵本の原書調査に努める。
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